第18話
「あの何か …」
「そういえば先ほどの質問に私は答えた訳だが…」
「ゴーレム魔法についてですか」
「そうだ、その質問に答えた報酬が欲しいな…」
マジかよこいつ、いきなり過ぎんぞ。
報酬って何だよ~なんか悪いヤツに騙された気分 なんですけど。
俺は内心ぶ~たれながらおサイフである小さな袋を懐から取り出そうとした。
するとミロットは首を左右に振った。
「別に金銭を要求するつもりなどない、お前は採取依頼が得意なんだろう。だからお前に一つ依頼を出したいんだよ」
「採取依頼なら…構いませんけど」
言っていて少し気になった。
この悪そうな笑顔の美人さんが言うことだ、何かしら裏がある気がする。だって絶対に無駄に頭の回るタイプの出来る女っぽいんだもの。
……いやっ出来る女は全身ススまみれになんてのらないか?
俺が訝しげな視線を向けているとミロットは流暢に語り出した。
「このフレッゾの街の近くに湖があるだろう」
「湖……ですか」
湖だと、俺が思い当たるのなんてあのバケモンみたいな猿が水底に巣くっている湖しかないんだが。
ていうかまさか……。
「その湖というのはまさか…」
「この辺りの湖なんて一つしかないさ、バイラスと呼ばれる巨大な猿の上半身にタコの下半身を持つ化け物が湖の主をしている場所だよ」
「……………」
俺の予想通りだった。
マジでか、あんな化け物がいるところに用事があるとかこいつ何を考えてやがるんだ。
流石にそんなの依頼でも無理だろ、断ろ。
「すいません、流石ににそんなところに行くのはちょっと…命がいくつあっても足りませんよ」
「別にあの化け物をどうにかしようと言ってるんじゃない、今作っているポーションの材料が不足していてな、あの湖に自生している薬草がいくつか欲しいんだ」
薬草が欲しいっつってもその湖に行くんだったら依頼の危険度に大差ないだろ!
採取クエストはお手軽クエストなんてゲームの中だけの話だってことは知ってんだかんな!
「もちろん報酬は出す、どうだ依頼を受ける気はないか?」
「…ですからありませんって」
「そう言わずに」
「ですから」
「 そこをなんとか…」
もう無理矢理じゃん。
なんでそこまでその薬草が欲しいんだよこの人は。そんなに薬草が欲しいなら自家栽培でもしてろよ全くよ~~。
「何度頼まれても無理なものは無理です」
「そう言わないでくれ、あの湖近くの依頼は幾ら出しても禄に冒険者たちも受けてくれなくて困ってるんだ」
当たり前だよ、あんな怖いモンスターがいる場所になんていくら冒険者でも行きたい訳ないだろ。
冒険者なんて自営業みたいなもんだ、何かあったら全て自己責任なんだぞ、危険過ぎる依頼を避けるくらいするわいな。
「……それにお前なら何とかなるんじゃないのか?」
「何でそう思うんですか」
「だってお前はゴーレム魔法使えるんだろ?」
「なんでワタシがゴーレム魔法を使えると?」
「そんなのゴーレム魔法なんてマイナーな魔法について知りたいなんてヤツは、その魔法を使えるって事だと思わないか?」
「マイナーな魔法を知りたいからって使えるって思われても…」
「まあ女の勘ってヤツだな」
どういう理屈だよ女の勘、精度がチート過ぎんだよ。
「……まあ使えますよゴーレム魔法」
「そうだろうそうだろう~」
自分の予想が当たったからかミロットはご満悦である、何をそんなにニヤニヤしてんだ。
「ゴーレム魔法が使えるならあの辺りの危険なモンスターもバイラス相手にも囮作戦や盾作戦に使えるんじゃないのか? うまくいけばこちらの被害はゼロで薬草の採取は可能なはずだ」
コイツ……俺のゴーレムを囮や盾に使う気満々だな、とんでもないヤツだ。
こんなヤツの馬鹿な依頼にうちの可愛いゴーレムちゃん達を使わせられるか。
こんな依頼はなしだなし。
「すいませんけど何度言われてもそんな依頼は」
「報酬として50万シルト出す…どうだ?」
「依頼の内容を詳しく」
俺は速攻で金につられた。タイムイズマネーである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます