第17話

「確かに私がミロットだ、このアトリエの経営者であり錬金術師をしている」


「ワタシはラディアと言います、よろしくお願いします」


 店の奥に通された俺はとりあえず挨拶をしていた。場所はリビングルームかな、長方形のテーブルに4個の椅子がある。


 それに向かう合うように俺とミロットと名乗る変な女は座っていた。

  現れた女性は全身のススを落としている身綺麗になると見た目の印象もだいぶ変わったな。


 年齢は20歳になるかどうかくらいで黒い髪と緑色の瞳を持ちそして褐色の肌を持つ美しい女性だ。高身長で足が長い、そして巨乳である。

 なんとなく褐色肌だからかオリエンタルな雰囲気を感じる。


「それで私に用事とは何だ小さなエルフ」

「あなたは魔法について詳しいと聞きました」


「……まあそれなりにな」

「それならゴーレムの魔法について知ってたりしませんか」


「ゴーレム魔法か、また珍しい魔法について知りたいんだな」

「…珍しい魔法なんですか?」


「ああっ珍しいな、なにしろ……」


 ミロットは俺にゴーレム魔法について説明をしてくれた。

 その話によるとこの世界においてゴーレム魔法とはあまり有用な魔法としては認識されていないらしい。


 何故ならゴーレム魔法は素材によってゴーレムの能力にかなり大きな性能差が生まれるらしく、また一体でも生み出して意のままに操るには魔力と練度が必要なようだ。


 その上で細かい命令をするのも難しいらしい、単純に何かの破壊などをするのには向いているが何かを作らせたり、あるいは日頃の雑事などをさせる為の便利な存在としては流行っていないらしい。


 世間一般ではゴーレム魔法を覚えるくらいならオートマタの機械魔技師とかいうのに大金でも払って自立行動ができるオートマタを作ってもらった方が早いと言われているくらいだそうだ。


 無論、ゴーレム魔法もゴーレムを盾として使うくらいであれば悪いものではないらしい。

 ……盾か、まあわざわざ持ち歩く必要ない盾といったところだそうだ。


 なんか身も蓋もない話だな、それに結構ゴーレムも自分たちで動いてくれるから助かっているのだが 他のゴーレム魔法の使い手はそこまでゴーレム魔法を使いこなしていないらしい。


 あるいはそういうイメージが世間一般に広まってることが問題なのかもしれないな、魔法なんていうのはだいたいイメージひとつでどうとどうなるもん だ。異世界テンプレである。


 そのことをこの世界にチビエルフとして放り出されて実感している俺だ。

 多分ゴーレム魔法もやれると思えばやれるものなのかもしれない、実際に俺がそうだしな。ゴーレムの優秀さには頭が上がらんよ。


 フレッゾの街の外に出れば調理などは相変わらず リザードマンゴーレムたちに任せきりの俺だ、自分でも炊事洗濯を覚える必要があるかもとも思うのだがいかんせんゴーレム達が有能すぎてね、テヘペロ。


 そんな感じな事を考えつつミロットといくつか質問を重ねる、結果としてはまあそれなりにゴーレム魔法について知る事ができた。


 それとやはり俺みたいにゴーレムをものすごい数 生み出して操るなんていうやつはそうそういないらしい、まあ操ると言っても大半はゴーレムたちが自動で動いてくれてんだけど。


 …なんでそんな真似が出来るかと聞かれたらあのキャラクターシートに書いた億越えのステータスくらいしか思い浮かばないな。


「それにしてもエルフよ、お前はもしかして冒険者なのか?」


「はいそうですけど」

「……やっぱりな」


 何やら冒険者のエルフについて心当たりでもあるでもあるような口ぶりだな。


「 近頃、冒険者になったエルフがいるらしくてな、そのエルフは子供の姿なんだが採取依頼をよく受けてはしっかりを依頼を成功させているらしい。それも他の冒険者たちも苦労するようなかなり難易度の高い依頼をだ」


 なる程、やはり異世界の町では有望な冒険者の情報は素早く出回るらしいなフッ……。

 まっ殆どが荒野にゴーレムを送り込んで後は待ってるだけなんですけどね。


「そのエルフというのはお前なんじゃないか?」

「どうしてそう思うんですか?」


「エルフ自体ほとんど人の住む町に来ることはない、 見た目も子供の上にいかにも訳ありといった雰囲気を持つお前みたいなエルフがそんな何人もこの町にいるとは思えないから聞いてみただけだ」


 なるほど、そんな訳ありな雰囲気とか持ってないと思うけど珍しい存在なのは自覚していた。


「……多分そうだと思います」

「そうか、ふふふっ」


 何やら怪しい笑みを浮かべてきた、これは悪い事を考えている顔だな。

 顔立ちが整っている女の悪い笑顔って普通の人がする悪い顔より数倍悪そうに見える不思議よ。

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