第16話
俺がフレッゾの町にに来てから1週間が経過していた。
あれから何度か採取依頼を受けて、お金もそれなりに貯まった。このフレッゾの町にも少しは慣れ懐にも余裕ができたのそろそろ情報収集をしようと思っている。
やはりまずはゴーレムを操る魔法、それとエルフってヤツがどれくらいレアな存在なのかについて聞き込んでみようと思う。
エルフってわりと狙われたりする事が多いファンタジー種族だからな、この異世界ではどうなのか知っておきたいのである。
そんなわけで俺はまず冒険者ギルドの受付のお姉さんのところに来ていた。
「魔法とエルフについて詳しい人について?」
「はいそういう人はこの町にいませんか?」
「エルフについて知ってる人っていうのは心当たりがないわね」
残念、どうやらエルフについての情報を得られることはできないかもしれない。
「なら魔法についてはどうですか?」
「どんな魔法について知りたいの?」
「ゴーレムを生み出し、操る魔法とかですかね」
「ゴーレムを使役ね……そういう魔法だったら一人だけ心当たりがあるわ」
おっゴーレムの魔法はどうやら他にも使い手がいるらしいな、これは期待ができるかもしれん。
「その人はどんな人ですか?」
「このフレッゾの 街では結構有名な錬金術師よ、ギルドにも採取の依頼なんかを出してくれているわね、古い時代の魔法の研究が好きで色んな魔法に詳しいわ。多分その人ならゴーレムの魔法も知ってるかもね」
どうやらゴーレムを操れるって感じではなさそうだな、けど色んな魔法に詳しいのなら是非ともこのファンタジー世界の魔法について教えて欲しい。
是非とも会ってみたい。
「その人に会う事ってできますか?」
「できるわよ」
「なら会いに行きたいのです」
「それなら待ってて、行き先までの地図を用意するから」
俺がチビエルフだと思って言葉だけで伝えるのに不安を覚えたんだな、受付のお姉さんは相変わらず 察しがいい。
俺は前世でははあんまり道案内とか口だけでするのもされるのも得意じゃなかったから言葉だけで伝えられてもたどり着ける自信はあまりなかったんだ。助かりますな。
というわけで受付のお姉さんが地図を書いて戻ってくるまでしばし待つことにした俺である。
出来れば詳細な地図を希望します。
◇◇◇◇◇◇
冒険者ギルドのおねぇさんに紙と鉛筆で書いてもらった地図を頼りにフレッゾの町を歩く。
「確かこの辺りだったよな…」
周りをキョロキョロして家とその周囲に書いてあるだろう建物を見比べる。
どうやら間違いないと思われる。
俺が向かったのは フレッゾにあるそこまで大きくないアトリエの1つである。
この世界でアトリエとは様々な魔法のポーションとか、店主が自作したマジックアイテムが並べられているお店らしい。
魔法とマジックアイテムの知識、それと錬金術師としての能力を認められた人間だけが持つことが出来るものだそうだ。
そのアトリエの経営者が魔法について結構詳しい人らしい。てか錬金術師さんらしい。
「アトリエか~店主は素材から錬金から全部一人でしてるのか……まあ、あのゲームほどワンオペなわけねえよな」
新米錬金術師が潰れそうなアトリエの経営から素材の採取、にアイテム作り、更にはモンスターとのバトルまでこなし、最後にはなんやかんやで世界まで救うファンタジーゲームの事を思い出す俺。
まっあのゲームシリーズ、一つもしたことないけどな。ゲーム雑誌で読んだ薄らした内容だ、そんなくだらないことを考えながら店に入る。
「失礼します店主のミロットさんはいますか?」
ドアを開け、中に入り 挨拶をするが返事はなかった。まさかいないのか?
そう思っていたら……。
ドォオオォオオォオオオォオオォオオンッ!
「うぎゃあぁああぁあーーーーーーーッ!」
派手な音がした。あとなんか悲鳴みたいなもんまで聞こえた。
爆発か? 店のカウンターの奥にあるドアが開くと中から黒い煙がもくもく広がる。
「だっ大丈夫ですか!?」
流石に心配になったので早歩きで様子見をしつつ近づく。
もくもくと立ち上るその黒い煙の向こうから 1人の女性が姿を現した。
「ゲホゲホ……誰だ、お客さんか?」
「お客さんと言うか……あの、大丈夫ですか?」
全身すすまみれの変な女が現れた。
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