第5話

 リザードマンゴーレムの後を歩くこと小一時間くらいだろうか、スマホがないので何となくそれくらい経ったかなと思っている、しばらく歩くとそれらしい水場に到着した。


「ここに危険なモンスターはいるか?」


 リザードマンゴーレム達は左右に首を振る。

 前もって『安全な水場』と念を入れて注文をしていたので少なともリザードマンゴーレム達にとって危険は少ない水場なんだろう。


 荒野の水場は規模の小さな川だ、深さは分からないがそこまで深くはないと思う。

 綺麗な川だ、匂いとかも変な感じじゃない。


 まっ水があっても流石にそのまま飲むのは危険だよな、そこはメイジの火の魔法で煮沸してもらえないかと期待している。


「先ずはここを拠点にするか」


 回りに身を隠せられそうな場所はない、しかしないなら作れば良いのだ。俺にはそれに適してる能力があるからな。


「ゴーレムクリエイト」


 俺はゴーレムを生み出す、地面から土が盛り上がる。今回は結構大きめのをイメージした。

 現れたのは四角い大きなブロック、しかし中は空洞で入口として長方形の穴が空いている。


 シンプルな見た目だがハウスゴーレムを生み出した。家具も何もないが雨風は防げるだろう。

 次は別のゴーレムを生み出す、今度は壷とタライに手足が生えてるゴーレムを生み出した。


 これは水を入れておく為のゴーレムだ、壷ゴーレムの方は飲み水を入れておいて、タライゴーレムの方はお風呂変わりに使うつもりだ。


 モンスターを元にしたゴーレムじゃないので魔法とかは使えないプレーンゴーレム達、しかし魔法は使えない変わりに姿や大きさは俺のイメージした感じになるのでそこは便利だ。


 もっと細かいイメージを持って生み出せば一軒家とかバスタブとかも生み出せるかも知れないな。

 そこら辺はもっと練習するしかないか。


 俺はゴーレム達にそれぞれ指示をした、武器持ちのリザードマンゴーレム達にはお魚とかを川でゲットする様に、壷ゴーレムとタライゴーレムにはそれぞれ川の水を汲んできてもらう。


 リザードマンメイジには火の玉を出して壷ゴーレムとタライゴーレムが汲んできた水に火の玉を投入、煮沸してもらおう。


「そ~と! そ~とだぞ! 壷ゴーレムに火の玉ぶつけるなよ!」


 無言ながら杖を両手でしっかり持ち、心なしか顔を火の玉に近付けながらリザードマンメイジが火の玉を少しずつ壷ゴーレムの中の水に入れていく。


 どうやら発射するよりも少しずつ動かす方が集中力が必要なようだ。

 その後は煮沸したお湯が冷めるまでまったり新しいゴーレムとかを考えながら時間を潰す。


 しばらくすると武器持ちのリザードマンゴーレム達が数匹の魚を手に戻ってきた。

 色も俺がイメージする魚、見た目も毒を持ってそうな感じはしないな。


 ここまで来れば後は運だ、異世界の川魚にフグみたいな火を通しても消えない毒持ちがいないことを願おう。

 命なんてのは運がなければ死ぬだけだぜ、気にしてもしょうがないのだ。


 リザードマンゴーレム達はどっからか木の枝とかも大量な拾ってきてくれていたのでリザードマンメイジの魔法と木の枝で焚き火を準備する。


 魚についてもリザードマンゴーレムに一任すると木の枝を魚にブスッ刺して焼き魚にしてくれた、異世界の魚の味はシンプルだが悪くない、塩が欲しい。


 なんとか調味料くらいはゲットしたいもんだ、今後の課題だな、その為にも今は食べて生きる事を優先するか。

 テキパキと働くリザードマンゴーレム、案外ゴーレムの元になったリザードマンもこんな風な生活をしていたのかも知れないな。


 更に焼き魚を食べる、空腹は最高の調味料って言葉は本当だよな。

 一度は煮沸され冷めた水を壷ゴーレムから飲む、こっちも飲んだ後に身体に異常とかは無かったので大丈夫なんだと考えよう。


 ご飯を食べ終わる頃には辺りは薄暗くなっていた、ゴーレム達には俺が寝てる間の護衛を指示してハウスゴーレムの中に入る。


 何にもない硬い床に寝転がる、入口にはリザードマンメイジを配置して中には壷ゴーレムとタライゴーレムを入れておく。


「あっタライゴーレムを使ってなかったな」


 リザードマンメイジにタライゴーレムの中の水を温めて貰い、そのタライの中に裸になった俺が入った。温度もいい湯加減だ。


 今のチビエルフな俺ならタライでも立派なお風呂だ、身体の汚れと疲れを落とす為にゆっくりお風呂を楽しもう。


 お風呂から上がる、何気に長い金髪が全然乾かないからちょっと困ったがある程度乾いたら服を着てまた寝転がる。


 異世界初日……色々とあったがまだまだ頑張る必要があるな、もう少し身の安全とか利便性を向上させたい。


 そんなこと考えながら俺は眠った。




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