第3話

「ギィギィギギギーー!」

「ギギギッ! ギィギィ!」

「ギギギーーー!」

「ギギギ~~?」

「ギギギーーギギギ!」


「いきなりリザードマン五体かよ…」


 洞窟に現れたのはリザードマンにしか見えない二足歩行するトカゲ、身体は人間に近いが肌は鱗で覆われてる、身長は全員俺の倍近くあるので見下されてる感がハンパじゃない。

 見下して来やがってトカゲ野郎め~~。


 手には武器も装備してる。普通に怖いってか顔が怖い。なにあの口の大きさ、チビエルフの俺なんて本当に一口でいかれそうなんですけど。


 俺も木の杖を構えるがこんなのじゃどう考えても勝てる気がしないぞ。

 こちらがチビエルフと人型ゴーレムの二人だけだと理解したのかリザードマン達からは余裕綽々な感じの気配を感じた。


 流石に2対5じゃ勝てると思うよな、逆の立場なら俺もそう思うもん。

 そして当然の様にリザードマン達がこちらに迫る、ビビる俺は動けなかった。


 しかしそんな俺とリザードマンの間に立ち塞がる者がいた、俺の魔法で生み出したゴーレムである。

 ゴーレムは俺が指示した訳でもないのにリザードマンに立ち塞がる。


 ファイティングポーズをとりシャドーボクシングの真似事をするゴーレム、以外と俊敏な動きに驚いたぜ。

 リザードマンの中で剣を持つ個体と槍を持つ個体がゴーレムに襲いかかる。


 ゴーレムは剣も槍も無視してリザードマンを殴りつけた、リザードマン達は殴り飛ばされ洞窟に転がった。


 剣も槍もゴーレムに当たっていた、しかしゴーレムの身体が硬かったらしく共に弾かれゴーレムには何のダメージにもならなかったのだ。


「そうだよな、ゴーレムって身体が岩だし、剣や槍で動く岩をどうこうしようとか無理だろ」


 ゴーレムは無言でリザードマンに攻撃を仕掛ける、武器を持ってる他のリザードマンがゴーレムに挑むが先の二体同様に殴り倒された。


「いいぞいいぞ俺のゴーレム! そんなリザードマンなんてぶっ飛ばしちまえ!」


 残るは杖を持ってローブっぽいボロ布を着ているリザードマンのみだ。

 俺は調子に乗った。


「オイオイまさかその顔で魔法使いってか? 流石にリザードマンは物理攻撃能力しか高くはないんじゃないかい? 魔法を使えるINT足りてるかおい~~?」


 あのキャラクターシートのステータスの事を思い出した俺は向こうが理解出来ないだろうが取り敢えず煽っておこう。


 俺の煽りに対して言葉は分からずともチビエルフに小バカにされてるのは分かったらしくリザードマンメイジ(仮)は低く唸り声をあげていた。

 ………いや。


「あの唸り声は呪文の詠唱か! ゴーレム、ヤツを殴り倒せ!」


 俺が指示を出すとゴーレムがリザードマンメイジ(仮)に襲いかかる。

 しかし向こうの呪文の完成が早かった。


「ギュアァアーーー!」


 リザードマンメイジ(仮)が声を張り上げる、するとゴーレムに向かってバレーボールの数倍はある大きな火球が放たれた。

 マジで魔法使ってきた、(仮)が外れてしまう!


 火球がゴーレムに直撃、ゴーレムは破壊された。

 くそ~ゴーレムには魔法が有効なのか、そんな所までゲームみたいな設定にしないでほしかったぞ。


 万事休すか。


「…………むむっ!?」


 すると頭の中に何やら知らない情報が流れ込んできた、それは先程ゴーレムに倒されたリザードマンの情報である。

 それと同時に俺の中で一つの閃きが生まれる。


「ゴーレムクリエイト!」


 リザードマンメイジの回りに四つの岩が盛り上がる、そしてそれはリザードマンの形を模したゴーレムになった。


 この時俺は理解した、俺は直接見て、そして俺か俺が生み出したゴーレムが倒したヤツのゴーレムを生み出す事が出来るのだと。


 そして一気に形勢逆転、四体のリザードマンゴーレムに囲まれたリザードマンメイジ。

 流石にこの状況で詠唱とかさせて魔法を発動させるなんて許す訳がないよな?


 リザードマンゴーレムは武器こそ持っていない、爪や牙は岩が素材だが普通に形作っているのでステゴロでも人間くらいなら軽く捻れそうなくらい強そうだ。


「よしっやれーーー!」


 俺が指示を飛ばした瞬間、リザードマンゴーレム達がリザードマンををボコボコにした。

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