第一章 荒野に立つ金髪ロン毛チビエルフ

第2話

 さてはて、自身の現状を理解した俺は取り敢えず魔法で生み出したゴーレムに荷物である袋と俺を背負わせた。


 一気に身長が縮んだからな、元の身長と同じくらいの高さになりたかったのだ。


 高い視点から回りを見回すが特に人間が住んでそうな場所も見えん、まあゴーレム自体の身長が百六十センチあるかな~程度だから当然か。


 それともう一つの懸念、ここが仮に異世界だとする。その場合やっぱりいるのかな……モンスターって。


 仮にあのキャラクターシートに書いたステータスとこのゴーレムがいたとして、ゲームやマンガに出て来るモンスターとか出て来たら戦えるか?


 モンスターが現れる、俺はゴーレムをけしかける。ゴーレムはやられて俺はステータスを信じてモンスターに接近戦を挑む!


 そしてモンスターのお腹の中へ……。


 こうなる未来しか想像できん。それに普通に怖いので戦うとか無理だ。

 もっとゴツいゴーレムも生み出せたら分からないが、色々と試すにもこんな荒野じゃな……。


 とにかく、今の状況で怖いモンスターの群れとかに囲まれたら流石に危険だな。


「取り敢えず隠れられそうな場所を探す、そこで袋の中身くらいは確認するか」


 ゴーレムは答えない、しかし勝手に歩き出した。

 どうやら指示すればちゃんと自動で動いてくれるらしい、助かるぜ。

 俺はゴーレムに背負われながら移動を開示した。



 ◇◇◇◇◇◇



「う~ん水に食料、それに手鏡と木の杖か…」


 ゴーレムに移動を任せてしばらく、洞窟に辿り着いた俺はゴーレムを先行させて安全確認の後に中に入った。

 中は薄暗かったが普通に見えるレベルだったので気にしないで奥に進んだ。


 そこまで深くもなかった洞窟の奥で袋を広げると中には革袋に入った水と硬いパンに手鏡、それと木の杖が入っていた。


 この内容には心当たりがある、俺がしていたテーブルトークRPGでは初期装備としてショボいアイテムとか装備を最初からつけていた、まさにこんな感じのヤツをな。


 木の杖は魔法職の初期装備だろ、つまりグランドゴーレムマスターは魔法職って訳だ。


 ちなみに俺の服関係の装備について説明すると、ボロ布みたいな服と半ズボン、それに革の靴と言う感じで、村人じゃなくて奴隷さんじゃねって感じの装備をしているぞ。


 あと魔法職は基本的に接近されたら終わり、基本的に紙装甲だから。けどあの億越えのステータスなら……。


「けどステータスの効果を確認する為に戦闘するとか無理だし、何より怖い……せめてゴーレムクリエイトでどんなゴーレムまでなら生み出せるのか知れればな…」


 ルール本とかサプリメント本を寄こせって話だ。

 これが異世界転生ならチート能力としてゴーレムクリエイトを与えられたってのか?


 それなら俺の想像以上にゴーレムクリエイトは強力なスキルなのかも知れないが…。


「よしっそれならもっと柔軟に考えるべきか」


 何しろファンタジーがリアル化してるのが現状だ、ゲームじゃないので普通は無理な真似も出来るかも知れない。


 人型ゴーレムは確かに有能だ、しかし個人的にはもっと多用途に特化したゴーレムが生み出せないかと思ってる。


 例えば魔法がある世界なんだから魔法が使えるゴーレムが欲しいのだ、飲み水出せたり火を出せたりするゴーレムが。


「ゴーレム、お前さん魔法使えないか?」


「……………」


 ゴーレムは無言で何もしない、やはりプレーンな普通ゴーレムに魔法を使う能力はないらしい。

 ならば使える可能性が高いのは魔法が使えるヤツを元にしたゴーレムだ。


「けど、そんなヤツに出会えるのか? この世界に来てから人間らしいヤツなんて一人も─」


「ギィギィギギギッ!?」


「うぉおおうっ!?」


 独り言を言っていたら金切り声みたいな不快な鳴き声が聞こえた。

 振り返り身構える俺の視線の先には…。


 鱗に覆われた身体、トカゲを凶悪にした頭。

 そして二足歩行して手には杖や槍を持っていた。


 それはゲームで言うところのリザードマンと呼ばれてそうなモンスターである。

 遂に、遂にモンスターと出会ってしまったかぁあっ!

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