チビエルフな俺はゴーレムを引き連れ異世界を西へ東へ突き進む!
どらいあい
チビエルフのゴーレムパレード!
プロローグ
第1話
「俺が……なにをしたってんだよ」
そこは岩しかない赤く焼けた荒野だった。
他にも何もなく人もいない、そして俺自身にもとんでもない変化があった。
俺は男だ、男として生まれてそれなりに生きてきた筈だ。
しかし何故か少し前の自分についてそれ以上の事が思い出せないでいた、まるで脳内に変な膜でもあるかのようにだ。
まあそれについては後で考えよう、問題は今の俺についてである。
俺の傍には袋が置いてあった、中には色々な道具が入っている。
袋から手鏡を取り出して顔を見た。
なぁんで俺……エルフになってんだ?
俺はモジャモジャのくせっ毛で長い金髪と青い瞳をした推定年齢一桁くらいのチビエルフになっていた、しかも性別は女子。
もう意味が分からない、なんとか記憶を思い出そうとして……あっ思い出してきた。
◇◇◇◇◇◇
「……何だここは?」
俺は確か……仕事でストレスが溜まり家で一人、酒でストレス解消をしていた。そしてトイレに入ったタイミングで事が起こった。
真っ白な何もない空間がトイレのドアの向こうに広がっていたんだ。
ドアを越えるとそのドアを消えて、酔っぱらっていた俺は混乱した。
「んだよここは、真っ白じゃねぇかってかこんな場所って心当たりが異世界転生するときのアレくらいしか知らねぇぞ?」
異世界ラノベ、俺がよく読むファンタジー小説にそんなジャンルがある。
理由は様々だがいきなり異世界で生活する事を強いられるアレだ、それの冒頭には良くこんな風な真っ白な何もない空間が出て来てた。
大抵はここに神様とかがいて最低限の説明をして異世界に送ったり転生させたりするのだが…。
そんな便利な存在はどこにもいないみたいだ。
酔っぱらった俺は取り敢えずトイレを探してキョロキョロした。
しかしトイレがなかった、ムカムカする。
それと余談だが俺は酔っていても顔に出ない人間だったりする。しかし色々な行動に躊躇がなくなるので直ぐにおかしいと気付かれるタイプの人間だ。
ムカムカが溜まる、もうこの場でゴールデンウォーターを解放するぞオラッ。
「…………ん?」
すると目の前にいきなり机が現れる、本当にいきなりだったので酔っぱらってても驚いた。
何だと思いその机の上を見ると何やら紙が一枚とシャーペンが置いてあった。
それを手に取り内容を確認する。
「これ、キャラクターシートじゃないか」
キャラクターシート、それは卓ゲーの一つであるテーブルトークRPGで使われる紙で自身の分身となるキャラクターの見た目や種族、レベルやステータスや使えるスキルやら魔法やらを記入する紙である。
俺が高校生のころ、このテーブルトークRPG、特にファンタジー世界を冒険するタイプのヤツにどハマりした時期があった。
「…………懐かしいなぁ」
社会人になってからは中々遊ぶ余裕とかなくなって、その手のルールブックとかサプリメントとかは全部実家に置いたままだったっけな…。
キャラクターシートの内容をよくよく見る。
種族はハイネスエルフで年齢は一桁、ロリババアじゃなくて本物のロリエルフなのか。
使える魔法は……ひっひとつだけかよ。
それはゴーレムクリエイトと言うゴーレム錬成魔法らしい。職業がグランドゴーレムマスターらしく様々なゴーレムを錬成、使役して戦闘から町作りまで多岐に渡って活躍出来るキャラクターなようだ。
う~~ん、テーブルトークRPGって基本的に一人で何でも出来るキャラクターとかいるとセッションする醍醐味がなくなるだよな。出来る事を固定してそれぞれのキャラの役回りをハッキリするのもテーブルトークRPGのメソッドだと個人的には思うんだよ俺。
まあ一人で寂しくソロプレイするにはこう言うチートくさいのも悪くないけど。
「ん? これっレベルやステータスの数字が記入されてないな」
空白のレベルやステータスを見ながら思う。
基本的にテーブルトークRPGでのキャラクターのレベルやステータスは一桁、多くても二桁だ。
だってレベルアップしたりすると数字を書き直すからな、ネトゲーみたいな阿呆みたいな数字とか書いてたら無駄に手前がかかるだけである。
しかし酔っぱらっていた俺はその無駄をしてみたくなった。理由なんて必要ないね。
机の上に置いてあったシャーペン、それを手に取りレベルとステータスをサラサラと記入する。
名前:ラディア=グレイテストゴールド
種族:ハイネスエルフ
性別:女性
レベル:百億
HP:百億
MP:百億
STR:百億
INT:百億
VIT:百億
DES:百億
AGI:百億
LUK:百億
保有スキル:ゴーレムクリエイト
「うんっ我ながら阿呆なステータスだな、まあいいか!」
酔っぱらっていた俺は、これはもう夢なんじゃないかと思っていた、だからもうなるようになれっと阿呆な事をしたのだ。
キャラクターシートにテキトーなステータスを書き込むとそこに……。
『ようこそ、ここは神である私の──』
◇◇◇◇◇◇
「………ん?」
なんか途中から記憶がスパッとカットされてる気がする、なんか誰かその謎の空間に現れたような……まっ忘れてるのならそんな大した事じゃないんだろうさ。
俺って酒飲んで酔っぱらうと覚えてる部分とと完全に忘れてる部分が出て来るタイプなんだよな。
と言う訳で分からん所は考えないことにした。
「なる程な、つまりはそう言う訳か」
何がどう言う訳かなんて分かっちゃいない、ただ何となく言ってみただけだ。
えっとなんだ? つまりは俺はあのキャラクターシートのチビエルフとしてこの謎の荒野に送られたってのか?
誰に? 何で? ここってマジで異世界?
様々な疑問が頭に浮かぶ、そこで先ずは一つスキルを試して見ようかと思う。
そんなものが発動する訳がない、発動したらここがマジで地球なのかも分からんくなるぞっと思いつつあのスキルを発動する。
「………ゴーレムクリエイト」
そう言葉を発したその時、目の前の地面がモコモコと動き始める。
やがて人型の不格好なゴーレムが現れた。
「………マジか~~~」
どうやらマジで異世界に送られた模様、まっ金髪チビエルフになってる時点でそうかもなとは思ってたけどさ……。
チビエルフ、異世界の地に立つってか。
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