　凶暴に照りつける太陽に隠れるように身を潜める装甲歩行戦闘車（Armored Combat Walker）、略称ACWがいた。

　砂漠に適した迷彩を機体に施し、偽装ネットを頭から被って巨体をうまく隠している。

　ネットの隙間からメインカメラに連動した長身のライフルが突き出ているが、偽装ネットのおかげで巧妙に隠されており、遠くから見てもそれらを含めて砂漠の小山のようにしか見えない。

　茹だる様に暑いコックピットの中では、女パイロットが額に汗を滲ませている。

　操縦桿を握り締め、カメラに連動した４台のモニターを睨み付けていた。

　砂塵の霞む先に、５機のN.O.A.SのACWが展開している。

　女は目を見開いて、そのACWを凝視していた。

　クリスタ社製のACW専用狙撃ライフルを構え、照準をメインカメラと同調させている。

　しかし、引き金を絞る気配はない。

　女は浅い呼吸を繰り返しながら、ただ硬直しているだけだった。

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