7. 除霊師探し
今度は王が除霊師探しを命じたが、そんなにはかどるものではない。
祈祷に関しては実績のあるものがいたが、
除霊に関して有能なものというのが伝わってはこない。
霊能や霊感という目に見えないものを先王がとことん嫌っていたがゆえに、
廃業同然にしたのだった。
新皇后は若いといっても、亡くなった皇后に比べれば、教養も劣る。
政治のことを話すには学がなさ過ぎたし。
先の皇后のことを相談しようとすると怒るのだ。
乙女特有のものではあるが、皇后と比べてしまう。
あの時はよかったなとか、このまま呪いなどなければよかったのにという思いしか
浮かんではこない。
割り切ったつもりであったが、何かにつけて、
人というのは比べてしまうものなのだ。
前のものが良ければいいほど、比べてしまう。
(世継ぎができるにしても皇子が良いな。王女と比べられるのはつらかろう)
王としての責務はまだ続く。
今日夜伽だ。
皇后の時には何とも思わなかった。
亡くなってからは責務が生まれて正直、つらいというほかない。
この感情が新しい皇后に気が付かれないなどというものではないようで。
☆☆
輿入れをしてからというもの気になっていることがある。
(王は私を見てはくださらない)
私をだれかに重ねている。
だけなのかはわかりきっているけれど。
好きといったのは偽りだったのか。
(これでいいのかしら)
ぼんやり紅をさしながら幾度も同じ問いをしている。
「これでいいんだわ」
これも一族の復興と保護を。
家族がご飯いっぱい食べれるように王の寵愛をなくすわけにはいかない。
「今日もきれいよ」
大丈夫。今日も侍女が完璧に仕立ててくれる。
大丈夫だ。
今日は夜伽の日。
公主には悪いが、こちらにもひけない事情があるの。
「悪い思いをするのは公主だもの。仕方ないわ」
「私は新しい妃だもの。仕方ないわ」
王を向けえるべく香を焚きなおした。
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