第13話 捜査本部設置

「失礼、私の名前は富山だ。君の名をおうかがいしてもよろしいかな」

 富山は渋い感じの中年の男であった。日本人の平均的な体格を有していた。富山が警察手帳を見せると、京香は自分の名前を福山京香と名乗りだす。そして富山に対して現在の状況を探ろうとしている。富山は事件性が高いと判断したので、捜査本部を設置したと話すと、純平がそうですかと話しかけるのであった。

「私はたまたまここを通り過ぎようとしただけなので、ここに立ち寄ったのですが、電話をすると、桔平さんがここにいると、貴方の母親がそのように答えてくれました。桔平さん何か知っているのならば、警察に教えてもらえないでしょうか。何でもよろしいので」

 車の爆発事件で警察が動かない訳はないと思っていた純平であるが、赤丸桔平の方は、特に目新しい情報は無いような気がすると話すのである。

「富山さん、そんな動きでは犯人に証拠隠滅とかされるのではないかしら。もっとパッパッパと出来ないものかしらねぇ」

 京香がそのように言うと、富山は既に目ぼしい人物を把握しているような感じであった。その為に色々と桔平さんに聞こうとしているらしく、事情聴取をする必要があったらしい。それを聞いた京香はようやく納得しそうになるのである。

「そうなのですね。それならば、早くそうと言ってくれたら、誤解せずに済んだのに」

 富山は堂々としていた。

「桔平さんよろしいですか、色々と思い出してもらう事になるかもしれませんが」

「わかりました。大丈夫です。すぐにそちらまで行きます。」

 赤丸桔平はたじろぐ事無く、素直に従った。そして純平達に別れの挨拶をすると、外に出て、近くの署にまで足を運ぶのであった。また富山の方も、探偵事務所から出ていくのである。

「確か捜査本部を設置したと言っていたわね。これが純平の最初の仕事になるわね。良かったじゃない。上手く仕事が運べばの話だけれど」

 京香は半信半疑で、横山純平の可能性を信じていたようである。暫くは様子見の方向で、純平の成り行きを見守るらしい。将来を考えて。

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