第11話 ひょっとして加害者側なら

「それでは駄目です。私もツートップとして頑張って活躍します。それではいけませんか?」

 赤丸桔平が一歩たりとも引きそうにない。その様子を見て純平は迷いが生じたが、はっきりと結論を出さないまま、曖昧な感じにしてしまう。

「あの、本当の所はどうなのでしょうか」

 京香は赤丸桔平の所に行くと、合格みたいよと彼の耳元で囁くのである。桔平がガッツポーズで喜ぶと、純平はトイレへ行き、その後に缶コーヒーを手に取るのであった。

「横山さんは缶コーヒーが好きなのですか? いつもコーヒーを飲んでいる雰囲気ですが」

 すると純平はいつも自分は缶コーヒーだと答える。いつも特売で缶コーヒーを買って冷蔵庫に蓄えていると説明する。そしてお店のコーヒー店には行かないと付け加える。また純平は無糖派だとも言い、砂糖は入れない主義だと明かすのである。コーヒーはブラックに限ると言い張るのであった。

「それって意味あるのかしら純平。私そんなの初めて聞いたのだけれど」

 京香の問いに対し、缶コーヒーを片手に純平は真面目に答えた。それは砂糖を飲みすぎると体に有害だと答えると、先ほどの話を続けるのであった。

「赤丸さん、あなたの父上が恨まれているのかわかりませんが、知り合いのつてで遺体から薬の成分が出てきたとの情報が入りました。どうやら事故死ではないようです」

「うそ!、へえ。今時そんなのがわかるの。凄いじゃない。焼死体から薬の成分がわかるなんて」

 京香がそう言うと、毒殺後、火事で死んだと見せかけるために放火される場合も多いらしいから、そういう検死のやり方もあるそうだとの情報を簡単に説明すると、急に純平は真面目になって、『やりますかそれでは』と意思を表明するのである。

「そうなのですね。自分の勘は正しかったという事ですか。でももし自分の父親が加害者側だったらどうしようかな」 

 赤丸秀樹が加害者側の事を心配にした息子である桔平は悩んだ。しかしその事を乗り越えようとする姿があったようである。それを京香は後押しをするのであった。

「ファイトよ、桔平さん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る