第10話 折り合いをつける
「赤丸桔平さん、またどうして?」
京香がその理由を聞くと、彼は父親が何故死んだのか真相を知りたいと言うのである。事件に巻き込まれたのだとすると、自分も解決に一役買いたいと言うのであった。
「すみませんが、これはひょっとして難事件ではないかもしれませんよ。ひょっとしたらすぐに犯人が発見されるかも。断定はできませんが」
純平は率直に自分の考えを述べてみたが、これが難事件だとしたら、この先の展開がかなりハードモードだと思う予感がするのである。赤丸桔平は渡されたコーヒーを飲み干すと、コップを置き、これは難事件になりますと断言するのであった。
それを聞いた瞬間、その場の空気はピンと張りつめた状態になった。
「難事件になる。その理由を赤丸さんは知っているのですか」
「これをどうぞ」
すると、赤丸桔平はある手紙を純平に渡した。それは信頼できる人物に渡して欲しいとのメモらしいが、赤丸秀樹の文書らしいとの事で、遺書らしき文字が4行にわたって、簡潔に書かれているのである。赤丸秀樹は死を予感している様子であったみたいだ。
「父親さん自分の死を予感していたのでしょうか。しかしこれが本物だと証明する証拠になるかどうかわかりませんが」
「自分にはわかりません」
桔平は首を振ると、父親が何故死んだのか理解できない部分があったようである。家族の中ではそのような不思議な現象を目撃されていなかったと語り、死ぬ動機がわからないと呟くのである。
「赤丸桔平さん、ご自身は父親とは同居ですか? 何人家族なのでしょうか」
純平が聞くと、母親と自分だけの3人家族だと言い、同居だと説明する。父親は家の一軒家で、よく仕事を持ち帰ってはこなしていたというが、どうやらそこに何かヒントがありそうな気はした。
「横山純平さん、申し訳ございませんが助けて下さいますでしょうか」
赤丸桔平が懇願すると、純平はとても悩むのであった。京香は手助けしたい感じではあったが、最終決定は純平にあると見込んだようである。そして純平がわかったというと、助手でいいなら、なんとか折り合いをつけようと約束するのである。
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