第9話 赤丸秀樹の息子

「警察さん、これはひょっとして事件なのでしょうか。だとしたら純平、あなたの出番」

 警察の人はまだ確定した訳ではないと説明するが、赤丸秀雄を助け出そうとした状況を求められるのである。警察の人は事務所を見て、純平が私立探偵だと知り、意外そうな顔をするのであった。

「赤丸秀雄と言うのですかその人、聞いたことあるわ、確かマスコミ界隈ではちょっと有名ではないかしら」

 京香は赤丸秀雄をと言う人物を知っていた。ペンネームは斎藤秀雄であるが、本を出版したり雑誌に連載をしているジャーナリストである。自身のサイトを立ち上げたこともある人物で、テレビにも出演した事がある人だ。

「ジャーナリストが事故死に見せかけた殺人事件の可能性があるという事ですか。それはまた凄いが……」

 純平は意外な急展開で言葉が詰まりそうであったが、警察が来ている事情もあり冷静さを保つ。その時の状況を簡単に説明すると、警察の人になんとか納得してもらえたようである。赤丸秀雄が事件に巻き込まれたのなら、うちに是非依頼が欲しいものであったが、そんなの誰が許してくれるのだろうか。

 コネの関係では無いが、依頼があればすぐにでも動きたい所存ではあるが、その警察の人は話を色々と聞いた後、帰っていったのである。そしてその日の午後、急にうちの事務所で働かせてほしいという人が現れるのであった。その人は無給でもいいからここで働かせてほしいというのである。

 元刑事の人かと思ったが、どうやらそうではなかったようである。急に横山純平の事務所に働きたいという人は、名刺を差し出すのであった。そこには、赤丸桔平という文字があったのである。

「あなたひょっとして、死んだ赤丸秀樹の親類ですか?」

 純平がそのように聞くと、彼はそうですと答えるのであった。赤丸秀樹の息子ですと答えるのである。再びの急展開に対し、京香も驚くのであった。赤丸秀樹の息子は非常に大人しそうな表情で、父の死の理由を知りたいと言うのである。純平はこれに対し、どのような処置をするべきか迷ったようである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る