第5話 サンタフェ

「わかった。やってやろうじゃないか」

 男に二言は無いと説明する純平に対し、京香はそれでようやく信用してくれる気になったようだ。しかしただ開業届を出すだけではなく、フランチャイズのような私立探偵の代理店をイメージしていた純平は、彼女に対しそれを説明する。

「代理店ね、そっちの方が純平にはあっているかもね。経営とかあまり得意な感じがしなさそうだし」

 冴えない彼氏の代表格である横山純平は、綺麗系の京香に言われても、苦になる事が無かった。それもそのはずで、古い時からのお付き合いで、知り合ってから18年ぐらいの期間があるのであった。いい所も嫌な所もお互いが共有しているので、理解できる範囲が十分なのである。

「とりあえず、フランチャイズの契約は外資系の日本法人『サンタフェ』にしようかと思うのだが、どう思う?」

「どう思うって、私にはよくわからないけれど。純平はその辺り、よく調査してからそれに決めたのかしら」

 サンタフェはアメリカのシカゴに拠点を持つグループ会社らしく、日本に法人を設立して間もないところらしい。そんな会社のフランチャイズ契約をしたいと願う純平であるが、それが上手く行くのか、とても心配な京香がいた。京香はそんな大手の所に契約をするというのも非常に驚くのであるが、その行動力にはいつも羨ましいと思えるのである。

「それで投資に一体幾らかかるのかしら。そこが気になる所だけれど」

 京香が費用としての金額の算出をたずねる。純平が1千万円と答えると京香は、はあ?といった声を上げるのであった。

「1000万円!、純平あなた本当にその金額を出せるのかしら。それ本当に大丈夫なの? もしかして詐欺とかじゃないの」

 京香は費用の大きさに対し、信頼性が欠けると思っているようである。

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