石垣りんによりますと

獣は涙を流します


女の人の表情は

絹を引っ張ったみたいで

美しいです


歴史の過程で人を喰うのを

辞めた人がいて、一方

それでも喰うのを辞めない人がいて、

その人は人を殺して喰っているから

虫けらだと言う、

狂人は正気に還る


枯花を手でくしゃくしゃ砕きながらの

帰り路に友達の家だった貸家の

庭地を思い出す

ゆらゆらした印象の黒い服の女が住んでいる

(誰かの姉だった)

上級生が笑う。ガスガンを持って。

半狂乱の旧友から逃げる別の旧友が笑っている。

彼の半狂乱は、誇りに満ちて見えた。そのときは分からない言葉で。

そのときの僕は人の方へ走っていた

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