それぞれに王国の花園

室町の武士からして往来人が自分を笑った笑わないの問答の末に人を斬ったりしているのだから、我々が駅までの道のりを歩くときに何かしら気にかかるのは当然である。

夜中の空は昏すぎてどうしても見上げていられないから代わりに蛍光灯の白い光の部屋で布団をかぶっている。

そもそも、そのために蛍光灯は開発されたと言って良いし、夜の電車にもおそろしい昼間の漂白したような光彩は蔓衍している。

貴君らは記憶を貶めてはならないだろうし、それ以上に自らを呑み込ませようとしてはならないだろう。時間は最も透明な高貴さの意味を含んでいるだろうから、大人とか子どもとかいう強烈に他者を表現した言葉がある。時間差の作用で我々には常に他者が棲んでいる。他人の気持ちなんかわからないで、世界中の時計は同様な一回転をする。そうしている。美しいものは大抵乱暴なんだが、だから不完全な質量のある乱暴さというのは見るに耐えぬものだ。

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