第5話
わたしはいっしゅん、
「あんたたち、さてはわたしのノート」
というセリフがのどもとまで出かかって、……なんとか押しとどめた。どうしてそうしたのかは自分でもよくわからない。
ユキヒロはまたニターッと笑って、
「はい?――明菜ちゃんのアレがアレしたノートがどうしたってぇ?」
なんて、
「大丈夫。思いっきり広げてはあったけど、
と、マサナオが、ちょっとくやしくなるくらい
……と、うしろからぐっとわたしの
「い~から、寝~な~さ~い……」
さすが、(すくなくとも、見た目には、だけど)男子高校生なだけはあって、けっこうな力だ。
かれは
「……よっ!!!!」
「ぎゃっ」
ごろーん。一面、まっくら。それと、鼻の先がちょっぴりずきずきする。
いきなり、なにすんのよぅ!
「おいおい、
いかにもみじめったらしい様子で起き上がっていくと、マサナオがうしろから、せき込んでいる人をなだめるみたいにわたしの
なんだって、そうやってきゅうに
それにくらべて、ユキヒロときたら……
「『ぎゃっ』とはなんだ、『ぎゃっ』とは。どうせならもうちょっと、かわいらしい
なんて言って、笑ってる。
そのユキヒロの、いかにも「
いまみたいな意地悪を言ってても、そうじゃなくて、たとえばやさしい言葉を口にしていたとしても、やっぱりおなじようにまぶしいんだろうなあって思わせる、そのふとしたときに瞳のおくがチカチカッとかがやくのが見えるようなイケメンぶりをみていたら、だんだん、腹がたってきた。
ふっしぎー。
「ちょっと、ねえ。わたしはいま、すごく気分を
熱におかされたわたしの身体をベッドに投げだしたトモキにたいしてというより、ユキヒロ……いや、この場にいるわたし以外の「人間」すべてにたいして、わたしはきぜんとして声をあげた。
「ってか、そもそもですね。わたし、あんたたちのせいで、熱なんかだしてるんですよっ。」
そこっ!――
「だいたい、なんなんですか?ってゆうか、これ、わたしが
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