第4話 スノードロップ
幼なじみのエミちゃんとは、まだ幼稚園の頃からの付き合いで、彼女は昔からとても人気者だ。
エミちゃんはとても可愛くて、まるでお人形さんみたいだねっていつも言われてきた。小学校に上がっても、中学生になっても私とエミちゃんはずっと仲良し。昔はそんなエミちゃんと友達でいることが密かに自慢だった。
エミちゃんは可愛くて頭もよくて、スポーツだって万能。まさに何でもできる子だ。みんなや先生方からの信頼も厚く、学級委員だって任されてる。
でも、エミちゃんはすごいねって言うと、彼女はいつも決まってこう言うんだ。
「わたしなんて駄目だよ、全然自信がないの」
「そんなことないよ、ミノルくんだってエミちゃんのことすごいって言ってたよ」
「えっ、ミ、ミノルくんが……?」
完璧に見えるエミちゃんにだって、完璧じゃないところはある。彼女はプレッシャーに弱いみたいだった。
そんなエミちゃんを慰めて励ますのは、いつも友達である私の役目。彼女は私にだけは本音を打ち明けてくれる。だから私は、エミちゃんが好きなお菓子をあげたり、気晴らしに景色が綺麗なところに連れて行ったりして、彼女の気持ちを和らげるんだ。
最近はエミちゃんにピッタリの花を見つけたから、花を贈るのにハマっている。
「はい、エミちゃん。元気出して」
「わあ、ありがとう。最近いつもこの花をくれるのね、好きなの?」
「うん、可愛いでしょ。このお花、ちょっと下を向いて咲くところがエミちゃんに似て恥ずかしがり屋さんだと思って」
「も、もう、なによそれ。でも、ありがとう。とても嬉しい」
ちょっと下を向いて咲く白いお花を渡すと、エミちゃんはほんのりと頬を赤らめて嬉しそうに笑ってくれた。
ああ、そんなに喜んでくれるなんて嬉しいなあ。もっともっと、これからも毎日そのお花をあげるね。スノードロップっていうんだ、可愛いでしょ。
スノードロップ
花言葉……『あなたの死を望む』
私を引き立て役にし続けるエミちゃん、死んでくれないかなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます