第2話 見慣れた新世界

「はい、じゃあ契約の儀式は終わったから、そこにかけて待っててね」


先程までの上品な話し方から一変、女神は淡々とした口調で俺にそういうとどこかに行ってしまった。

その場に取り残された俺は改めて辺りを見渡して啞然とした。

…これはどういうことだろう。

俺の予定では今頃見知らぬ草原で異世界の洗礼を受けているはず…。。

なのにどうして俺は会社のオフィスのようなところでパイプ椅子に座っているんだ?

先程までのあの神々しい空間から一変、ファンタジー要素のかけらもないオフィス。

さっきまでの異世界転生の流れは夢だったのだろうか?


俺が現状理解しようと必死に考えていると、女神が何やら分厚い本を抱えて帰ってきた。


「多田さん、今から担当との顔合わせがあるので私について来てください」


そういいながら女神は持っていたその分厚い本を俺に渡してきた。


「これが契約書です、仕事で使うので持っていてください」


「え…はい…じゃなくてちょっとまってください!」


「質問なら担当の方にお願いします、私は少々時間が押しているので」


「そ、そんな…」


女神の勢いに押されるまま、俺は渋々言うことを聞くことにした。

俺は女神に案内されてオフィスから出てすぐ向かいにあった扉の前に来た。


「この部屋で説明会が行われています、この後は担当からの指示に従ってください」


女神はそう言い捨てると扉を開けて俺の背中を押して無理やり中に押し込んできた。


「え?ちょっと」


待って…そう言おうと振り返ると、既に扉はしまっていた。


「なんなんだよあいつ…」


俺が悪態をついていると後ろのほうから声をかけられた。


「あの…新生者の方は着席をお願いします」


申し訳なさそうに俺に声をかけてきたのは…天使だった。


文字通り、天使だったのだ。

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こちら異世界転生相談窓口です 響 花坐 @Kasa_Hibiki

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