第2話 セレスト
シャキン
「ナンダソレハ。」
「セレストエッジ、だってさ。」
「セレストエッジ?」
「ナイフっぽいな。ま、威力とか諸々は身を持って体感するといい。いくぞ!」
「戦闘プログラムを実行。アシストを開始します。」
これ、アシスト機能もあるのか。便利だ。
「右に避けてください。」
「グァァァ」
俺はビームをかわす。
「ステージ1、完了。〈ブルーアサルト〉と言ってください。」
ブルー…あさると?「あさると」ってなんだろう。
「ブルーあさると」
「認証完了」
すると、服の青いラインが光り、俺を浮いているかのような感覚が包む。
「データ化完了。高速移動が可能になりました。」
「え?高速移動?」
少し走ってみる。すると、恐ろしい速さでモンスターとの間隔が縮まる。
「うぉ!なんだこれ、すげぇ!」
「データ化により、体を都市に張り巡らされている通信網と自身を同化させ、高速移動を可能にしました。任意で、姿を透明にすることも可能です。」
これが「はいてく」ってやつか。よし!
「おらっ!」
俺は理解が追いついていないモンスターを切りつける。シャキィン、といい感触がした。
「ウウ。ナンダキサマハ。ナニモノナンダ。」
「神河刀也、またの名を!」
「えっと…どうしよう。」
名前を何にしようかと悩んでいると、また通知が来た。
「ユーザー名が確定しました。あなたのユーザー名は〈ビギンセレスター〉です。」
び、びぎんせれすたぁ?よくわかんないけど、なんかかっこいいぞ!
「うっうん!じゃあ改めて、神河刀也、またの名を〈ビギンセレスター〉!」
「ビギン…セレスター…ビビッ…タオス!」
「急にやる気になったな。ほら行くぞ!ブルーあさると!」
シュィィンガギン!
「ステージ2、完了。〈セレストスラッシュ〉と言ってください。」
またよくわからない言葉が来たが、とりあえず言ってみよう。
「セレストスラッシュ!」
すると今度は、モンスターにあてがっていたエッジ部分が青く光る。そのまま横に刃を移動させると
「ウグァアッ!」
とモンスターが吹っ飛んだ。え?意外と俺って強い?お?お?
「キサマ、ヤルナ。ダガ、ココデタオシテヤル。ゴォォォ」
なになに?突然エネルギーを溜めはじめた。これ、特大威力のやつが来るやつじゃね?
「ステージ3、完了。最終ステージ。〈セレストパーティング〉と言ってください。」
おっと、これは「必殺技」ってやつじゃないか?よーし!
「セレストパーティング!」
「ゴァォォォォ!」
モンスターの口から、真紅の太いビームが放たれた。だが、俺には謎の余裕がある。
「はっ!」
青く光る刃でビームを受けると、そのビームは真っ二つになり、後ろの建物に当たる。
「終わりだぜ。はっ」
俺は地を蹴った。そして、モンスターを一閃し、着地する。それと同時に、シャキシャキシャキシャキシャキシャキシャキン!、という何回も斬ったかのような音が聞こえた。
「ナ、ニ…セレスト…ウガァア!」
パシャァン!という星を砕いたときのような音がし、モンスターは消えていった。
「ふぅ…疲れた。」
さて、なんやかんや時間も経ったし、家に帰ろう。と、その前に変身を解かなきゃな。ん?これどうやって解除するんだ?
「変身解除の際は、〈オフ〉と言ってください。」
どこまでと親切な音声ガイドだ。
「オフ」
長いコートや仮面が胸に粒子となって吸い込まれると、俺はいつもどおりの姿になった。
そして俺は思い出す。
「ちょっとまって!そんなことより胸に入ってったやつ取り出さなきゃ!え?どうやってやんの?どうすればいいんだ!」
俺が焦っていると、わかっていたかのように胸から目の前に説明が書かれたホログラムが映し出される。
「あなたの体内にある〈セレストコア〉は取り出すことができません。コネクトした時点でサービス契約に同意したものと見做したため、摘出は不可能です。」
な、なぁんだってぇ!いやまて、もしかしたら新作のゲームかなんかなんじゃ…
でも、だとしたら強制的に買わせたことになるもんな、それはないな。てことはあいつはホントの…
それじゃあ俺はこれからもあんなんと戦わなきゃいけないのか?もぉ〜…勘弁してよ…まぁかっこいいからよしとする、か…
俺は壊れたビルに背を向け、家路についた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます