炎上保険サービス

 これは従来の保険サービスと似たようなもので、運悪く"炎上"してしまった場合には規定に沿ったサポートをおこなうというものだった。具体的には従来の保険サービスにあるような一時金の支払いに加え、炎上した場合の"火消し"などのサポートもおこなうという内容だった。


 一定以上の信用度が無いと加入できない点も保険サービスと似通っていた。SNSを何年間利用しているか、その間の炎上の有無、発言の適切さ、などが審査対象になった。AI技術が発達した現代においては、この審査はアカウント情報を入力すれば1時間以内に結果が出るほどに高速だった。



 当初、この保険サービスは流行らないだろうと多くの投資家が予想していた。これは不正に一時金を受け取ろうとする連中が多く出て、ビジネスとしては立ち行かないだろうという予測からだった。


 しかし、その予想に反して多くの人々が炎上保険サービスに加入するようになり、不正な利用者に対しても適切に対処が行えたこともあってサービスは大きく成長した。とくにもともと保険サービスに強く依存していたJ国における加入率の高さはものすごいものだった。



「今の時代、炎上保険なしじゃSNSなんて怖くて出来ませんよ」


 それがSNSを活発に利用する若者たちの声であった。


 会社が成長するにつれ、最初は個人のみが対象だったものが企業などについてもサポートを始めるようになった。SNS時代の情報発信の重要性を理解している企業はこぞって加入するようになり、それによって会社はさらに成長した。

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