横川先生、美谷川先生、私からの最後のメッセージになるかもしれません。

精神科の治療と私のこれからの人生について。

まず少し精神医学全体を批判しなければなりません。あなたたちお二人も含めてね。少し遠回りになりますが、言葉と責任への、私が思うことについて述べるところから始めます。

私が病気から回復して周りへの一番の不満は、あまりに未熟で何の訓練もされていない––––訓練の必要すら感じていない––––多くの日本人の日本語における言語能力にあります。それは言葉への責任感のなさ、ひいては日本人全体の主体性の致命的な欠落の問題にまでつながっていきます。

約束というものについて考えてみましょう。人と人との約束はまず言葉で交わされるものです。来週の日曜日午前10時にスターバックスで待ち合わせるのような。そして次に行動で示されるべきです。しっかりと約束の言葉通り待ち合わせの場所に時間通りに着かなければなりません。約束においては常に言葉に行動が伴うものであり、それこそが責任なるものです。

私が赤星病院において県への申請を考えるようになったのも––––美谷川先生のために思いとどまりましたが––––この一点、言葉と責任の問題にあります。保護室では患者は一人で水を確保し飲むことはできません。自由にトイレに行き用を足すこともできません。主治医に自分の体調を伝えることまで含めて何もままなりません。ですから看護師の皆さんの責任 ––––患者の言葉を尊重し伝える責任。患者の自由は言葉だけです!––––は重大です。保護室では私の伝えて欲しかった伝言のおおよそ八割(!)は忘れられていました。これは単なるミスで済まされる問題ではありません。尿器を必要とする時、全く横の連絡が取れず––––四人目でようやく!––––、三十分も時間がかかるとは!何も伝わっていない点について訴えれば、私はその時そこにいなかったからととぼけるという組織の人間としての自覚のない看護師までいました!––––若い女の子です。言葉の訓練だけでなく、何の教育も受けてません。彼女の教育は責任あるお二人の仕事です。違いますか、横山先生、そして美谷川先生!––––もうお嬢さんを卒業しなさい!大人の女性としての自覚を持ちなさい!

言葉と医療について二点目になります。再び言葉と責任について。あるいは私がどうして主治医に秘密で断薬に踏み切ったか。

これから横川先生と美谷川先生には最も言って欲しくない話をこれからします。そしてあなたたち精神科医にとって最も触れて欲しくない名を口にしなくてはなりません。

私は内海聡医師を信じています。この反精神医学で右翼である––––私と政治的立場が対局にある––––陰謀論者であり、まさしく本人自ら名乗る「キチガイ医師」そのものである内海聡先生を尊敬しています。いや、こう言い換えるべきでしょう。私は彼の魂から搾り出された言葉と、そこに記された事実を、なにより我々精神障害者一人一人に真実を伝えようとする偉大な精神にこれ以上ない最高の敬意を払っている、と。

残念ながら横川先生、私は去年の二月に断薬の準備としてファスティングと生涯にわたる断酒の決意をするまで自分の病気––––分裂症が何なのかわかっていませんでした。あなたは何も説明を––––そう、言葉で!言葉以外ありえない!––––してくれなかった。これでは病識など持てるはずがない。あなたは事実を何も伝えなかった。それゆえ私も軽度の––––アルコール中毒に苦しんでいる事実を伝えなかった。知らなかったでしょう?私は酒で薬を飲んでいました。

ファスティングと断酒のため、ネットで本を調べている時、内海聡医師のことを知りました。そしてようやく分裂症が何なのか、リスパダールとデパスが何の薬であるか知るに至りました。私には内海先生の言葉はわかりやすく、正直で、気取った言い回しをせず多くの真実が書かれているように思えます。内海聡氏はキチガイ医師などではなく、本当は誠実な人間なのでしょう。まるで私が最も尊敬する二人の日本人、私が最も影響を受けた最高の文章家––––村上龍と副島隆彦のようです。二人の偉大な先輩から世界と人間について多くを習ったように、内海聡の本からも大きなものを与えられました。それは救済のための言葉––––世界で最高のカノン、新約聖書とは違った––––具体的な精神病からの解放のための本でした。