ワガママに

 全くもってこの人間という生き物は度し難い

 声は喧しく身振りは大げさで、およそ遠慮や謙遜というものを知らぬ


 私が丁寧に舐め清めた毛皮を撫でては手が汚れたと騒ぎ立て


 私がキレイに始末をつけた不浄をわざわざ掘り返しては砂が散ったと文句を垂れる


 私が規則正しく食事の刻限を告げてやればまだまだ早いと怒り出し


 この家の主たる私が手ずから害虫を駆除してやれば耳をつんざくような悲鳴を上げる


 全く全く度し難い

 一体このようにワガママに生きて恥じることを知らぬのか、理解が及ばぬ


 まあ、万物の霊長たるこの私はそのような些事には囚われぬ

 さてもさても今日は日差し穏やかで心地よい

 どれ、今も間抜けな顔で寝っこけるあやつの腹をクッション代わりに使ってやろうではないか


 これ、その腕をどけよ

 私の頭が乗り切らぬ

 よしよし、それでよい


 では、お休みなさい


 ぐう

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