雨がただ静かに

黒い川の分かれゆく

温い水の流れ

薄黄色の葉っぱが浮きつ沈みつ

故郷の風をほんの僅かに含んで運ぶ

そこに滲んだ死者の声などは

誰に届くこともなく泡となり


黒い川の分かれゆく

重たい命の流れ

仄明い燐光を運ぶ

誰にも届くことのない我らの声を

雨がただ静かにかき消して

その川の水に溶かしてゆく


茶色い染みが浮いた薄黄色の葉っぱが

黒い水の上を流れてゆく

回帰の旅の途上

世界に希釈されてゆく我らの声に

ほんの僅かな色を足して

黒い川が分かれゆく

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