春が終わる

絡まったコードを解いてベランダに座り込んだ

耳穴から潜り込み頭蓋骨を舐めあげるアスマーが、口の中にチョコレートの味を呼び起こし、抱え込んだ膝を暖める日差しの熱を遠ざける

閉じ込めて、揺蕩って

晒して、惑って、仰ぎ見て

いつものように、心の内の黒々と嫌な匂いを放つ澱みを薄めて飲み込み、ようやっと呼吸を取り戻すと、いつしか頬を伝う雫が汗であることに気づき

ああ

春が終わるのだな、と

緑色の匂いを探して、イヤホンを外した



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