風になれたら

眼下に汽笛の音

鳥の歌が、あまりに緩いリズムを奏でる

乾いた頬には赤い輪郭

望郷の詩を口ずさむトゥルーベージュの唇

空を映したサファイアの瞳

隣に立つ君を差し置いて、風になれたらと夢想する私の心は、揮発性の愛欲に浚われて、もうなんのぬめりもなく

望みもなく

恨みもなく

ただ気圧の低い場所に向けて吸い寄せられる、あの風のようになりたいと

絡みついた君の指に縋り付いて

どうにかこうにか、船出を見送っているのだ

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