考えている
階段の手すりに一匹の雨蛙がいて
白く柔らかな喉がけくけくと上下し
濡れた瞳がなにかを考えているようで、私は
滴を恵んでくれようかと
日陰をさしてやろうかと
そんな思惑を見抜かれたようで
わけもなく羞恥を覚え
不意に向きを変えた雨蛙の背中に
ヨクヨク考エヨと云われた気がして
私は
自らの足音に思考を譲り渡すことなく
考えよ
考えよと
口の中で飴玉のように言霊を転がし
一歩一歩、階段を上り
ドアノブに鍵を差し込むまで
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