間男のナニが抜けません(巻四「三宮の留守不義あり玉くきぬけざる事 さんぐうのるすふぎありたまくきぬけざること」)

 寛文(1661~1672)の春の頃、江戸は京橋の近所に住むある者が、伊勢参宮に出かけた。


 その留守中、妻が密かに間男と交合していた折、一物がどうしても陰部から抜けなくなった。


 翌日の昼になっても閨から出てこないので、隣向かいの人々も知るところとなり、何事かとひそひそ話されるうち、隣町まで隠れなく知るところとなった。


「そんな珍しいことなら私も見てみたい」


 話を聞いた人たちは我も見ん、人も見よと、家の周りに立ち集まること幾千、幾万人、限りを知らずという事態になった。


 果てには町代などがやって来て、人払いなどしたので、夜になってようやっと事は治まったそうな。

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