エピソード33 コルホート級視認‼

 ミズーリが出港して1時間後、コルトリア王国が見える場所まで来た。

『コルトリア王国港湾、発見!前方35万キロメートル』

 無線機からレコンの声が聞こえてくると同時に、双眼鏡で覗いてみた。

「――全艦、戦闘配置。第一戦速」

『第一戦速、ヨーソロー』

****************

 ヴェルモンティア帝国からコルトリア王国に一番近いヴェスモント軍港に停泊していたミズーリは現在、王国近海に停泊して主砲を陸地に向けていた。

「全主砲、準備良し。――撃ち方始めぇ」

『撃ち方、始め!』

 全9発の16インチ――凡そ40・6口径の混合砲弾が光の尾を引きながら、コルトリア王国に着弾していった。

「伝説は作る物、そうだろ?」

 あちこちで黒煙や火災発生を告げる鐘が鳴る中、最近就役したであろう近代型戦艦が姿を現した。その舷側にはコルホートという艦名があった。

『コルホート級の1番艦を視認!射撃許可を‼』

「全砲門斉射、一撃で沈めろ」

 ロアの指示で全ての砲塔や機関銃座が火を噴いて、コルホートの木甲板やバイタルパートを粉砕していった。

「あまり、俺達を舐めない事だな」

 被害甚大なコルホートはその場で横転して艦橋事、暗く冷たい冷酷な海へと倒れ込み道中多くの乗員たちを極寒の海へ薙ぎ払いながら爆沈していった。

 その光景を間近で見ていたミズーリの乗員たちは、重油や海水で視界や聴力を失った乗員らを敵兵士としてではなく人間として救助活動に励んだ。

「救助旗で知らせろ、総員。警戒を厳としろ」

「はっ!救護班は艦内のAEDを中央甲板に集めろ、衛生兵らは浮き輪を駆使して救助を始めろ」

「「はい!」」

 敵兵士達を救助し終えて、ヴェルモンティア帝国から持ち込んだ赤ワインや白ワイン、地酒などを彼らに与えてから救命用の短艇に乗せて港湾に帰した。

****************

 3時間ほど近海にて警笛を3回ほど鳴らした後、航海長に「進路反転、錨上げろ。帰港する」と指示を出した。

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【来た、来たぁあ!キタァ‼4,529PV、おおきに!】異世界で無双する現代人は、チーターと同等ですか? @12{アイニ} @savior1of2hero

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