エピローグ  対勇者戦

 10分後、銃声と共にA分隊とB分隊が姿を現した。

「お前ら!屋根に登れ、あとは・・・任せろ」

 小隊員が負傷して血を流している者から順に屋根へと運ぶと同時に勇者3人が姿を現した。なるほど、確かに巨大な斧と双子の勇者だな。

 彼女達は俺の姿をみると質問してきた。

「あらぁ・・・?貴方は、だぁれぇ?」

「理恵子、異世界人共に日本語は通じないわよ。異世界語じゃないと」

「あははぁ!そうだったねぇ、じゃあ。死んでくれる?」

 いや、そもそも。俺は日本人だし、転生者だし。それに、唐突の放送禁止用語かよ・・・。

「は、はは・・・。マジかよ・・・」

 彼女達は一瞬驚いた顔になった、そりゃそうだ。異世界人と思っていた目の前の相手が日本語で喋ったのだから。

「あなたは、転移者なのかしらぁ?」

「その前に、キミ。俺を一刀両断にするなど・・・不可能だと理解しないのか?」

 振り向いた場所に斧を上段で構えて、今にも振り下ろそうとしている女子の姿があった。

「・・・――ッ‼」

 振り下ろすのを辞めて、大きく後ろに下がると微笑んだ。

「甘いのは、そっち」

 その時、身体硬化魔術で気配を感じた右脇腹を硬化させると敢えて受けてあげた。その後、裏拳で接近してきた双子の内の1人に反撃を加えると咄嗟に火焔拳で反撃の構えを取った。

「かかって来いよ、俺が――最強な理由を教えてあげるよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 3対1という不平等な戦闘が行われようとした時、OH―1から無線が入った。

『こちらOH―1、帝国城門が無血開城した』

 えぇ・・・、この状況で・・・?マジデスカ。

 勇者3人組の出方を様子見していると、その内の1人の気配が消えた。

「お・・・。えーっと――なぁ、帰っていいか?」

 突然背後から気配がしたので、その方向に振り返り様に1人を補足した。

「――ッ⁉画竜点睛!」

 空中で前転から繰り出して来た蹴りをほぼ無動で横に躱すと、「キルコールを出しておくよ」と言い放って火焔拳を顎に命中させた。

「――なん・・・だと・・・?――ッ、ガッファア‼」

 後ろに吹っ飛び、地面を転がって動かなくなった。

「あ、やっちまった・・・。――・・・、クソッたれ~~~~‼」

 残った2人が地面に伸びて動かなくなった1人を見て闘心がみなぎったのかは分からないが、一気に距離を詰めて来たのでスタングレネードを内蔵させた対人地雷を偽装魔法で地面と同化させて散布した場所まで引き付ける事にした。

「劣勢だな・・・一旦、戦線離脱!」

 M249を取り出して200発の5・56ミリ弾を浴びせながら後退していると、勇者の1人が6・8ミリ弾を使用する25発装填の11年式軽機関銃で応戦してきた。

「クソッ、流石。旧日本帝国だな・・・いや、彼女にとっては現在進行形か」

 岩陰で給弾していると敢えて誘導した対人地雷原に勇者2人が足を踏み込むと同時に、信管が作動して閃光で視界を奪い始めた。

「眩しいぃ‼」

「――ッ、油断した・・・!」

 藻掻いている間に、近づいて「降伏せよ、死が嫌なら武器を置いて神妙にしろ」と警告を告げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 縄で3人を縛り上げると、服従と魅了、洗脳魔法を多重展開させて完全に掌握する事に成功したので、3人には今から別動隊として動くようにと言う指示だけを与えてローレリウス帝国城に放した。

「・・・さてと、OH―1こちらロア。対勇者戦は無事に終わった、スプーキー《ガンシップ》に合図を出せ」

『了解、・・・お疲れ様でした』

「――ッ、て、帝国が陥落してから言え・・・!」

 無線を切ると、M249を収納してMP5―Kを取り出すと第一小隊と空挺降下小隊を引き連れて開け放たれた城内へと足を踏み入れた。

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