エピソード23 伝説は終わらない、これからだ

 ヴェルモンティア領と王都コルトとの間にある関所を潜り、屋敷に戻ったのは翌朝の6時だった。

「ベル、至急でレコンを呼んで来い」

「はい、お兄様」

 LM002を正面玄関前の広場に止めた後、暫く待って居るとレコンが一人で来た。

「お呼びですか?」

「ベルは?」

 レコンの表情が一瞬だけ変わったのが見えたような気がしたが、何事もないかのように振舞った。

「お手洗いだと、言っていましたよ」

「そ、そうか。時に、レコン。何か、俺に隠し事をしていないよな?」

 その時、玄関が開いて吐血したまま負傷しているベルが出て来た。

「まさか――」

「お、兄様・・・!カフッ・・・‼」

「――ッ、ベル‼大丈夫か?」

 急いで駆け寄り、上体を支えてレコンを咎めようと振り返ると、居なかった。

「レコン・・・、説明を――。おいおい、マジじゃン・・・」

 ベルを自室のソファーに寝かせた後、屋敷中を隈なく捜索すると人質や拘束されているメイドや侍女を見つけた。外傷は無かったが、非常事態だと考えたロアはすぐに軍港に向かった。

 軍港では、警備兵に追い詰められたレコンを装った女性に銃口を向けていた。

「投降しろ、貴女は包囲されている!」

 その時、ロアが軍港にやって来たが女性は英語で「SEE YOU AGAIN,ROA.《また会いましょう、ロア。》」と言い、身を海に投げた。

「クソッ!ここに居る警備兵に告ぐ、絶対に捕まえろ‼」

「――了解‼」

 軍港が慌ただしい中、ロアは女性が身を投じた場所まで行くとUSBメモリーがあった。

「最悪だ、逃したのか。――ん?これは・・・?」

 拾い上げたそれを持っていたスマートフォンに接続して、フォルダを開くと何かを伝えるために書かれた英文章だった。

「俺宛か?いや、そうだとしたらこんな方法では・・・」

 USBメモリーを抜いて、ポケットにしまうと警備兵が声を掛けて来た。

「御考え中に失礼します、視認・・・できませんでした」

「そうか、ご苦労。それと、領内完全封鎖を言い渡す、不審者は必ず捕まえろ」

「はっ!」

 警備兵が走って行くのを見送った後、暫くその場で考えていたロアは、首を振り屋敷の自室に戻って行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2日後、相変わらず領内を封鎖していたロアは、学院から誘われていた夏季旅行を断り母ヨルクの墓参りをしていた。墓石に自らが取り出した柄杓ひしゃくで水をかけて、木綿の布できれいに磨いていると声がかかった。

「あの、ロア様?」

「――ああ、本物のレコンか」

「申し訳ありませんでした、その・・・」

「もう良いよ、頭を上げなさい」

 自室に戻ったロアは着替えようとロッカーを開けると、ロープで縛りつけられて青痣あおあざ且つ眠らされていた本物のレコンを見つけた。

「しかし・・・私のせいで、貴方様を危険にさらしてしまった責任が――」

「人は、自らの過ちを背負い込む。だから僕は、それを解き放つ」

「ろあ・・・様?」

「だから、レコン。泣くなよ、君のせいではないよ。油断をした僕のせいだから」

 大粒の涙を流しているレコンを優しくハグして、頭に手を置いて「ごめんな、心配だっただろ?」と優しく何度も言った。

「うっ、ううっ・・・」

「泣き止んでくれよ、頼むからさ」

「ロア様に、忠誠を――捧げていきます!」

 そこにベルがやって来た、何やら事が事らしい。

「お兄様!たった今、帝国から‼」

「どうした、ベル。大事か?」

 母の墓石に振り返ると、透明な姿の母がいた。

「あ、そうだ。かあさ――・・・フッ。大丈夫だよ、俺は大丈夫だよ」

 次の瞬間には笑って、消えて行った。

 大丈夫、俺は・・・反則者チーターと同等だから!

 柄杓を収納してロアはベルとレコンと共に、屋敷に戻って行った。


             ☆☆☆


 ども、作者の@12です!


 初めてこういう終わり方(?)が出来ました。

 今作の『異世界で魔法を極めて現代兵器&武器で無双する現代人は、チーターと同等ですか?』を見ていただきまして、誠にありがとうございます‼

 シーズン0を無事終えました、次はシーズン1です!これからが、見どころですよ‼


 まだ、最新作だけという方は〈1:プロローグ 事故死って、マ?〉から見てください‼絶対に100パーセント気に入ると思います。

 ではでは、引き続きお楽しみくださいませ。


※ATTENTION PLEASE※

 「小説家になろう」の方では、過去に掲載しようと奮闘していた小説たちの始めだけを乗せています。作家名はジャポートエイリアンと申します。ご愛読、宜しくお願い致します。


                           2021年11月16日 著

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