エピソード22 予感

 翌朝、起きると学院服に着替えて年3回の全学院集会に向かった。そこで告げられた言葉を皮切りに学院生たちが歓声を上げた。

「みな、前半の学院生活を頑張った事を認めてこれより夏季休暇に入る!」

「――やったぁぁぁぁっぁ!」

 学院生たちが歓声を上げる中、ロアとベルフィティアは静かにしていた。すると、静かにしていた俺達に理事長から呼び出しがあった。

「それと、ロア・ヴェルモンティア君とベルフィティア・ヴェルモンティアさんは集会を終え次第すぐに、理事長室に来てくださいね」

 悪い話ではなさそうだ、何故って?理事長の顔が、笑っているから。

 集会後、二人で理事長室に向かった。

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「――それで、話というのは?」

「気づいていたのね?」

「ええ、まぁ。多分だけど、謹慎処分じゃない限り」

「フフフ、そういう冗談は好まないわよ」

 理事長室に入ったロアは早速、聞いてみた。

「君に話すのは初めてだから、取り敢えずこの報告書類を見て」

 手渡された書類を見ると、レコンの家族についての報告書だった。

「これは?」

「貴方に仕えている執事のレコンという女性について、調べている探偵から貰ったの」

「レコンが?・・・ちょっと待て、妹だって?」

「ええ。名前はリル、引きこもりみたいね。外見上は」

 ん?外見・・・?

「裏の顔か?」

「調べてみた結果が、情報屋の見習い」

「――・・・つまり、俺を狙っている可能性が高いという事か?」

「なるほどね」

 振り返ると、差し出された紅茶を啜っているベルフィティアの姿があった。

「ベル、今すぐに帰るよ」

「ええ、お兄様」

「じゃ、また」

 妹の頭に手を置きながら理事長室を出ると、まっすぐに正門へと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 5分後、正門にLM002を取り出して跨っていた。

「これが・・・バイクという乗り物ですか?」

「ああ、馬よりも早い」

 ベルフィティアがヘルメットを被ったのを確認してエンジンをかけ、ヴェルモンティア領に向けて出発した。

 その事をひっそりと見ていた人影があった。

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