エピローグ2 砲艦外交と艦砲支援

 潜入2日目。

 港湾が慌ただしいので少しだけ様子を見に行くと、沖の方に初期型船体の扶桑型戦艦2隻と航空艤装を施した伊勢型戦艦2隻、近代化改修を受けた姿の長門型戦艦2隻が停泊していた。

「は、ははは・・・。当たり前だよな、この世界に戦艦は帝国とうちの領地しかないものだから」

 半分予想はしていた、こうなることを。いや、嘘ではないとは言い切れない。

 扶桑型戦艦の魅力はゴジラを彷彿とさせる艦橋物だが、それが改善された伊勢型戦艦や煙突周囲物が改良された長門型戦艦も捨てがたい。

 いや~・・・これぞ、漢のロマンですよ!

 眺めていると、扶桑型と伊勢型の20基40門の四十五口径三十五・六センチ連装主砲塔と長門型の8基16門の四十五口径四十・六センチ連装主砲塔が一斉にこちらに向き始めた。

「おいおい、オーバーキル過ぎる戦力だな」

 轟雷の音と共に、砲塔から黒煙が上がったのが見えると同時に山の麓にある村から爆音や火災が起きていった。

「ハハハ!まるで人が、ゴミムシのようだ‼」

 義妹を攫うから悪いンだよ、これは俺から直々の御恵みだ!

 ロアはにやけながら山から下りて、ボリストクティア男爵家に向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 男爵家に着くやいなや、使用人たちを襲撃していった。情報を引き出した奴は、即刻処刑。返り討ちにしようと壁を背にしていた騎士も、逆に返り討ちにして天国へ送ってやった。

「く、来るなぁ‼‼」

「ハハハ!君達がいけないンだよ?俺の義妹とはいえ、妹を攫ったンだからさ。FUCK《クソ野郎》で命知らずな計画を立てたNOOB《臆病者》さんは、何処ですかぁ?」

 笑顔で執事と思われる老人男性を斬った直後、聞き覚えのある男の声が聞こえて来た。

「――ですから、父上!僕は、何も悪い事をしていません!」

「しかし、現に港湾沖にはヴェルモンティア領所属の大艦隊が来ているでは無いか‼ルドリア、どうするつもりだ‼はっきりしろ!」

 そこに扉を開けた血だらけのメイドがやって来たが、背後から軍刀で頭部を刺されて絶命した。

「――かふっ・・・‼」

「やぁやぁ、諸君。ロア・ヴェルモンティアですよ、きっちりと落とし前を付けに来たのでね」

 間違いないと確信した男爵家当主のログアテ・ボリストクティアは、丁重になった。しかし、ルドリアと怒鳴られていた方は、絶命しているメイドの方に顔を背けたままだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る