エピソード18 ロア流刀剣技
元魔法師団長をぶちのめした模擬戦から夜が明けた翌日、学院内を歩いているロアは周りに常に視線を感じていた。というのも、あの試合を見ていた生徒達がロアファンクラブと言う名の親衛隊が決起していた。その事をいち早く知ったベルフィティアが駆け足でロアに忠告したのだが、時が既に遅かった結果……。
「ロア様に触れようとする不審者には、親衛隊を通してからにしてください‼」
「非公式ではありますが、ロア様を誰よりも慕っている私達親衛隊を舐めないでくださいね?」
親衛隊メンバーはなんと教師や理事長も含めて、学院に在籍している女生徒405名だろうか。
……大規模すぎない?
ちなみに、瀕死になった元魔法師団長は「あんな化け物が居る学院なんか、教えたくない!」と吐いて田舎に隠居したらしい。正直に言って、玉無し野郎だ。
「それより、もう20歳か。早いな、時間が経つのは」
16歳で編入した俺は気が付いたら20歳だ、色々あったなぁ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後、ロアは演習場で刀技を磨いていた。
「……六奥義、壱ノ型――鎌鼬」
鎌鼬は風切りの技で、相手の反応を見るために使用する。
「六奥義、弐ノ型――隼」
抜刀しながら突撃していく技で、発動までの時間は僅か〇・〇〇一秒だ。
「六奥義、参ノ型――断絶斬」
空間事切り裂くので、空間を得意とする魔術師や剣士を迎撃するために使用することを想定して自ら作った刀技だ。
「六奥義、四ノ型――阿修羅斬」
阿修羅のように連続で切りつける攻撃方法で、コレを使用した後は3秒程脚力が強化される。
「六奥義、五ノ型――神殺し」
神をも殺すほどの威力を持つ斬撃を2回与える。
「六奥義、六ノ型――刻銘乱舞突き」
5~100回ほど連続で相手を突き続けるという、荒業だ。
「永劫裂断、桜花……!」
キラーソード《軍刀》を一度鞘に納めて再度、抜いて振り払うように相手を斬る。それが永劫裂断という刀技名だ。
「……烈火!」
斬られた対象が炎に包まれる技名だ。
「強撃抜刀流、桜舞!」
突撃しながら、抜刀した後に背中に装備しているブラッケリアを抜いて2撃目を与える斬撃。
「ロア流、全力反撃!」
受け身の姿勢で敵からの攻撃を軽く流し、峰打ち兼反撃斬を加える攻撃方法だ。
その他にも多くのロア専用の技を繋げていると、かすかに女生徒達の声援が聞こえた。その方向を見ると金髪男子が髪をかき上げながら俺の方に来た、正直に言えばウザイ。
そいつがロアの目の前まで来ると、「君がロア・ヴェルモンティアかな?」と聞いて来た。
「ああ、そうだが?フッ、モテ自慢か?」
「いや、そうじゃなくてさ。僕より弱いキミに模擬戦を申し込もうと思ってね」
……は?何言っているンだ、こいつは。
「俺が、弱いだと?」
「そうだよ、この僕はあの有名な師範であるロー・レアン様に鍛えてもらっているンだぞ」
ロー・レアン……?誰だ、そいつは?
「フフフ、驚きすぎて言葉も出ないか」
分からン過ぎて、困惑しているンだよなぁ。
「勘違い系男子だな、あんたは。可愛そうに」
「なっ、なんだって?」
「あんたの人気度は知らないが、この学院での人気は多分俺の方だろうな。現に、女生徒達の声援もあんたでは無く俺宛のようだし」
ウザイケ《ウザイイケメン》の話を聞いているふりをして、声援をよく聞いてみると「ロア様ぁ!頑張ってくださぁい!」とか、「そのウザイ男子を分からせてやってくださぁい」などと言った声だったからだ。
「アリエナイ、ありえない!ぼ、僕は王家の者だぞ!伯爵風情が――伯爵風情の方が人気ありなんて‼認めないぞぉ‼」
そういうと鞘から剣を抜いて走って来た、ああ……もう!なんで、面倒くさい展開になるンだよ‼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます