エピソード11 ロアの蹂躙劇

 ロアとベルフィティアが体験入学という形でマナディルアに来ている頃、ノースカリア領のほぼ中心部にある城塞都市ゴードリスという場所では軍関係者を目指す女性士官候補生50名が周囲を下心丸出しの兵士達に囲まれていた。

「――だから。いいじゃあねぇかよ、お嬢様たち」

「良くないです!それに、私達にナニさせる気ですか⁉」

「決まっているだろうが、奉仕こそ女性の仕事だよ。ククク……」

「汚らわしい――‼」

 そこに地響きを立てて、物凄い速度で近づいてくる物が聞こえた。一人の兵士がそれに轢かれたはずみで即死したと同時にその場に停車して中からMK16―Lを装備したロア・ヴェルモンティアが出て来た。

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「大丈夫ですか?あ、名前は後程ですが……あ~。なるほどね」

 ロアはその場にいた士官候補生たちに訊ねると同時に、兵士が女性士官候補生50名を囲んで下半身を弄っている光景を見て腑に落ちた。なるほど、強姦する気だったのか。

「とりあえず……理事長の頼みで来ました、ロア・ヴェルモンティアです。ここは任せてください、さ」

 後部ハッチを開けるとマークスさんが這い出て来た。

「酔った、みたいです……オゥ――」

「あ~、やっぱり……峠は無謀だったか」

「マークス‼」

「あ、お姉様……無事でよかったです」

 ん?お姉様?……いや、それよりもあの兵士達の視線が痛い。

「マークスさん、皆さんを見ていてください。……俺は、奴らを蹂躙して来ますから」

「……へ?あ、ちょっと‼」

 銃口を下に向けたまま兵士達の輪の中心へと駆け出して行ったロアの後を、追う人は居なかった。

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 兵士達の輪に入ったロアが最初に言ったのは、「俺、参上!」だった。その言葉に困惑した兵士達は顔をそれぞれ見合わせた後、一人の兵士がロアの心臓目がけて剣を突き刺した。本来なら噴水のように口から出る鮮血は出なかった。

「……ん?」

 微笑みながら兵士の顔を覗き込むと同時に着ていた軍服を脱ぎ捨てると、剣先が刺さった状態の対刺突型装甲服が姿を現した。

「何か、しましたか?」

「ヒッ……!」

 ロアは微笑みながら銃口を兵士の額に突き付けてトリガーを引いたので、兵士の頭から噴水のように鮮血が迸った。

「あ~、良いかな?俺を邪魔に思うのなら、コホン。――全員で来たらどうだ?」

 この言葉にムカついた兵士達は仲間の仇とばかりに一斉にロアに襲い掛かって来たが、それらを1つのマガジンと体術、剣術などで返り討ちにした。

「なぁ?コレで終わりか?もっと、来ても良いのだけれども?」

 兵士一人の練度が低すぎて、暇だ。

「この、化け物……!――カh‼」

 最後の力を振り絞って立ち上がった兵士の後ろに回り込み、首を思いっきり捻って絶命させた。

 96式装輪装甲車両に戻ると、マークスさんから事情を聞いた女性士官候補生50名がお礼を言って来た。

「ロア……ヴェルモンティア。マークスから話は聞いた、有難う」

「そうですか……、今から皆さんを王立学院マナディルアに護送します。安心してください、それと僕の事はロアと呼んでくださって構いませんから」

 96式を収納して代わりに、MV―22――通称オスプレイを出した。機体後部に50人の士官候補生達を搭乗させると、すぐに離陸した。

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