エピローグ2 クトリア姉妹
宿から出て王立学院方面に向かって足を進ませていると、路地から声が聞こえて来た。
「――離しなさい‼」
「――いいじゃないか、俺達と楽しい事をすることが嫌なのか?」
あー……体目的のお兄さんが言いそうな言葉だな、それに――。
声がする路地に入って暫く探していると二人の学生と八名の男性の姿が見えて来た。
「嫌あぁ!」
「へへへッ、ほら。キモチイイ事をしようや」
見ていられない俺は、すぐに声を掛けた。
「なぁ、お兄さんら」
「ああン?」
「見た所、衛兵か分らんけれどさ。魔物を狩る側の人が女の子を狩って苦しめたら、あんたら八人が新種の性獣だよ」
その発言に頭に来たのか二人で襲ってきた。
「舐めて居るンと違うぞ、小僧‼」
「誰が、上手い事を言えと。言ったぁ!」
二人が抜いた剣を躱した後、たまたま持っていたM16A1にマガジンを差し込み、照準を二人の足首に定めて撃った。
「あぐぅ!」
「ぎゃ!」
二人が倒れた所を見ていた他の六人も「二人の仇だあぁ!」と叫びながら迫って来たが、問題ない――撃てばいいだけだ。
その光景を見ていた二人の女子学院生に目配せで逃げろを伝えると、二人は頭を二回下げて市場の方向に走って行った。
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その後、二人が通報したであろう衛兵たちに地面でのたうち回っている八人が取り押さえられて、ついでとばかりにロアも事情聴取を聞かされた。
「まず名前は?」
「ロア・ヴェルモンティアです」
「……ヴェルモンティア、確か……ヴェルモンティア領だったか?」
「ええ、そうですよ。家族構成は一つ下にベルフィティア・ヴェルモンティアが居ますよ」
「ん?待て、待て」
「はい?」
12分後、色々聞かされた挙句にベルフィティアの事を聞かれたので素直に答えると何故か帰された。なんだったのだろう?
衛兵の詰め所を出されて自分の影が長くなっている事に気が付いた。
「あ、夕方やン」
急いで宿に戻る道中、やたらと女子学院生が俺のことを見てくる。否、気のせいか?
チェックインすると同時に、先程の女子学院生二人がカフェで待って居た。
「君達は確か」
「その節は助かりました」
「助かりましたぁ」
名前はローズ・クトリアとラスベリア・クトリアというらしい。
「ん?もしかして、姉妹か?」
「あ、いえ。双子なので」
「そうか、双子か……」
何故路地に居たのかを聞くと、昼食の買い出しで来ていた所を先程の集団に絡まれていたらしい。
「災難だったね……」
「それで――あの、お名前は……?」
「ああ、名乗って居なかったね。ロア・ヴェルモンティアだ、ヨロシクね」
握手を交わして二人が帰った後、二人の制服をレコンに依頼してその日は休むことにした。
「じゃあね、今日はありがとう!」
「バイバイ、ロア君」
「ああ、じゃあな。――さてと、レコン。居るか?」
「はい、ロア様」
「二人の学院を探してほしい、明日の昼頃には編入届を出しといてくれるか?ちょっと、学院という物に興味が湧いた」
「……畏まりました」
部屋に戻ると寝具に仰向け状態で、すぐに眠りについた。
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