エピローグ1 精力枯渇 ※性表現有

 その後駆け付けたレコンに事情を話すと驚かれた、それはそうだ。冒険者登録のしていないたった1人の16歳の少年がブラック・ベアを倒したのだから。

「ロア様、遅れてすみません」

「ああ……、レコン。すまん、事後じごなンだわ」

「……は、はい?」

「だから、その……ブラック・ベア2匹と他の魔物全てを、狩ってしまった」

 レコンはしばらく固まった後で目を見開いて、「はいイイイイィィィィィィィ⁉」と言って後ずさりした。

 もう一度言う、本来。ブラック・ベアとはS級の冒険者10人で1匹を討伐可能なほどのタフな魔物で魔物界の暴君とも呼ばれている魔物である。それをロア・ヴェルモンティアが狩ったのである。

 はい、皆も呼称しよう!『チートだろ⁈』ってね。

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 ブラック・ベアの襲撃から、6ヶ月後の冬の日。

 この日、ロアは執事のレコンとベルフィティアと共にヴェルモンティア領が属しているコルトリンディア王国の王都コルトに来ている。特産物は、魔肉だ。

 ちなみに、魔肉とは魔物の肉という意味だ。食べれば部位によって異なるが、魔力総量上昇・精力上昇・俊敏性向上・腕力向上・演算処理能力上昇といった恩恵を得られるのだが、その効果はこの世界以外――つまり異世界人にしか効果が無い。

「お兄様ぁ……、むにゃむにゃ」

 ベルフィティアは馬車に乗った途端に泥のように眠っているし、レコンはロアの正面に座り愚痴をこぼしていた。

「まったく不愉快ですよ!7年も付き合っていた男が、昨日突然別れるって言いだして来たンですよ‼‥‥‥ロア様は、どう思います?」

「えーっと、不倫されていたとか?」

「ええ、ええ。そうですよ!あの男、私以外にも他にも女を侍らせていたンですよ‼」

 愚痴を聞いていて思った、女性は怖い。

「そ、ソウナンダネ……」

 片言になるぐらいにレコンの背後に黒い雲が見えている、怖いよぉ。

「やれ尻軽とか、やれビッチとか!私はなりたくてアイツの彼女をしていたンじゃないのに‼キーッ‼‼」

 愚痴が洪水のようにあふれ出る中、ロアはレコンの眼を見ながら「なぁ、レコン。ちょっと良いか?」と質問を始めた。

「はい?」

「寂しいのか?」

「いえ、そういう訳では――」

「本当に?」

「う……」

 誘導するように問いかけていく。

「ん?」

「……」

「はぁ、まったく……。寂しいなら、いつでも良いから僕の身体を貸すよ?……マジな話で」

 その言葉に理性という鎖がはじけ飛んだのかその後、レコンは予約していた宿に着くと自分の部屋にロアを攫い求め始めた。

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 腰が痛い……、腰痛になったかも……。

 昨晩はいきなり拉致された挙句に、レコンに精力を吸われていた。SMチックな感じや調教チックな感じで乱れていたと思う。

 何分、記憶が無い。

「おはようございます、ロア様♡」

 心なしか、レコンの語尾に♡を感じる。

「お、おう。おはよう、レコン」

「昨日は美味しかったです、ロア様の――」

「ワアァ!それ以上は、ダメだって‼」

 恍惚とした表情で唇に手を添えて体をくねらせているレコンの口を強引にキスで黙らせると、すぐに着替えた。今日着るのは上下が分かれている衣服だ。もちろん、前世素材の服なので防汚や防水・撥水効果がある。

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