エピソード08 『王の中の王』って、何⁉
残ったのはクロラージただ一人だけだった。
「き、貴様ぁ!この俺様の前で――‼」
「おっと、それ以上。俺を怒らせるものなら、容赦なくお前を斬る。嫌なら、今すぐに降参せよ。これは最終警告だ」
キラーソードとブラッケリアを両方ともクロラージの首元まで突き付けると、怯えだして捨て台詞を吐き逃げ出した。
「く、クソオォ!覚えていろよぉ‼」
その隣に気配を感じたので右隣りに視線を移すとレコンが立って居た。
「救出し終えました、ロア様」
「そうか、御疲れ様。――彼女達の容態は?」
「はい、痣が目に見える範囲では数カ所と暴行の跡が……」
「分かった、じゃあ。クロラージ・クロスリアの監視を2名程に指示しよう」
「御意」
すぐにレコンの気配が消えると同時に、玄関から駆け寄ってくる人影が見えた。
「あれは……、ああ。依頼人のクリスさんか」
クリスと5人の女性達やベルフィティアが首だけになっている近衛兵たちを見て怯えていたが、ロアを見つけると足早に駆け寄って来て抱き着いて来た。
「お兄様!」
「え⁉お、お兄様⁉」
「ああ、言ってなかったな。ベルフィティア・ヴェルモンティアの従兄であり今では兄だ、改めてロア・ヴェルモンティアです。お見知り置きを」
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あれから数日が経過したが、クロラージ・クロスリアは未だに懲りる態度では無くちょくちょく門を叩いてきている。
「はぁ……、レコン。あいつが来ているのか?」
「はい、毎日。懲りずに来ていますよ」
「負けず嫌いか?アイツは」
「分かりません、ですが……そろそろ本気を見せて完全降伏を教えたほうがよろしいかと思います」
「そうだよな、うん。そうしよう」
クロラージを演習場に案内して、模擬戦を提案するとのった。
「ふん!貴様などには1本の剣で十分だ!」
「あっそ。じゃあ、ちびるなよ?」
HK416を取り出して、クロラージの足元に数発撃ちこんだ。すると、一瞬の事で混乱していたクロラージだが理解すると泣き出して即座に土下座した。
「すみませんでしたあぁ‼」
えぇ……ざっこ!――マジで?
「雑魚だな、お前」
「はいぃ!私は雑魚でございます!」
態度百八十度変わりすぎだろ、ギャグマンガか!
その日から、クロラージはロアの事を『断罪の王』と呼ぶようになりまた暴君だったクロラージをパシリ扱いにした者として『王の中の王』という意味不明の異名で街中の人々から呼ばれるようになった。
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