エピソード05 魔法極って最強なの?RPGなら普通じゃン‼

 ルカとリリカの二人を狙った無反動砲の弾頭は、まさかの衛兵たちに命中してしまった。

「あ・・・」

「今の攻撃は、凄まじいな」

 背後から声が聞こえたので振り返ると、2人が居た。

「ええっと・・・、詰んだ――」

 はい、詰みました!って、諦めるわけはない。俺にはあの武器がある、そうだPKMだ‼

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 PKMを取り出すと見た事もない形状をした物を目にした二人が、目を丸くして後ずさりをした。

「え、えーっと……?」

「それは……?」

 ボックス型マガジンを装着してベルトリング状の弾丸である七・六二ミリ弾をチャンパー《薬室》に入れてからコッキングハンドルを思いきり手前に引くと「これが、PKMの、威力だあぁ‼‼」と言いながら引鉄トリガーを引いた。連続して出る弾丸を始めは受け流していたルカとリリカだったが、段々とPKMの恐ろしさが分かり始めたのか防戦ぼうせんに徹するようになった。そのチャンスを見逃さない俺は、詠唱による囮術式ダミーと無詠唱による本物術式を叩き込んでいく。

 ちなみに囮は火属性の火球ファイヤーボールだが、本物は光属性の稲妻トロンだ。トロンを撃破できる魔術はロアが開発しているのだが、この世界の魔術師たちはそれが出来ない。

「・・・フッ!」

 ソニックブームが出るほどの速さでトロンがルカを攻撃すると同時に、背後から忍び寄って来ていたリリカの剣を受け流してロア専用の剣であるブラッケリア《漆黒剣》を引き抜いて重点をずらすと同時にもう一方の剣でリリカにチェックメイトを掛けた。

 この戦法は後に、ロアと冒険したパーティーや敵からロア流剣術と命名されて未来永劫みらいえいごう恐れられている。

 ルカは囮のファイアボールを受け流して戦線に復帰したが、剣を手放して降伏の意思を示しているリリカを見て唖然あぜんとした。

「リリカ!大丈夫って、――は?」

 ロアはブラッケリアでルカにチェックメイトを掛けた事で、模擬戦が終わった。結果はロアの圧勝だった。

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 5年後、15歳となったロア・ヴェルモンティアは教会に来ていた。今日は待ちに待った成人式だが、教会で行う理由はスキルを授かるため、なんだとか。

「次の方は・・・ロア・ヴェルモンティアですね。どうぞ、中へ」

 巫女みこと呼ばれる女性達の案内で教会内の神域しんいきと呼ばれる場所に来ると、突然身体が光り出した。

「おお‼其方そなたのスキルは、魔法極というスキルですな‼」

 いや、待って!魔法極は普通過ぎない?――待って!神官と呼ばれるお爺さんは感動しているのか涙を流しているし、巫女さんは誘って来ているし‼

「勇者様の御成りじゃ……!」

 はぁ?勇者って、ダルイじゃン!普通に嫌やわ~。

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