エピソード04 84ミリ無反動砲

 数日後の朝。

 母と俺はあの後、謝罪に来たクソ親父の正妻と執事のレコンさん、お嬢様で俺の一つ下であるベルフィティアお嬢様らの丁重な挨拶により正式な家族として迎え入れられることになった。

 なんでも、あの日の次の日に屋敷で泣いていたベルフィティアの事情を聞いた正妻さんがあのクソ親父を極刑きょっけいにしたンだとか。

 まぁ、俺の代わりに粛清してくれた事には感謝をしておこうとする。

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 昨日に案内された部屋のベッドで横になっていると、ベルフィティアが入って来た。謝りたい事でもあるのだろうか?

「お、兄様・・・」

 おおぅ、泣き顔で来られたらこっちが泣かしたみたいになる。

「――・・・ん?」

 そっとしておこうか、今の彼女にはそれが一番だと思うから。

「ごめん、なさい・・・!かたきを取っただけなのに勘違いしておまけに平手打ちをして、ごめんなさい‼」

 ああ。あの時か、もう良いのに。まず、平手打ちは未遂みすいだけどな!

「いいよ、水に流しているから。それより、ベルって呼んでも良いかな?ほ、ほら、敬称なんか要らずに名前で呼ぼうよ。俺も、ロアで良いからさ」

「ほん、とうに?」

「ああ、いいよ。ベル・・・、悲しい事や寂しい事などがあったら。お兄ちゃんに言えよ?頼っていいからさ」

 笑いながらベルの頭に手を置いて軽く撫でると、安心したのかヒマワリのような笑顔で「うん!お兄様、大好き!」と言った。これだから妹は、可愛い。

「おう、ロア!稽古の時間だぞぉ・・・って、あ」

 扉が勢いよく開く音と共に、ベルの顔が崩れた。

「おや?ルカ師匠?」

「お、お邪魔だったか?」

「大丈夫ですよ、師匠。ベル、俺の師匠のルカさんだよ。あははは!怖がらなくても平気だよ、普段は優しい方だから」

 そこにリリカも来たから、急いで準備をした。その後、庭に出ると衛兵たちが訓練をしていたのでその横で稽古けいこという名の模擬戦をする事にした。

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「カウンターをしてくる一人は何とかなるとしても、もう一人は気配を消しているのか。厄介、いや――困難であり不利だ」

 リリカの無詠唱魔法が背後からくる気配に気が付いた俺はそのまま、一歩も動かずに回避かいひした後で予想した場所に向けて小刀こがたなを投げた。そのまま小刀を投げたほうの手でM92F―SWPを装備して飛んで来た方向と逆の方に2発の弾丸を撃ち込んだ。

 模擬戦を始めてはや3分で俺は劣勢れっせいになった、原因は衛兵たちの参戦だ。稽古を始める時に衛兵長がルカに参戦要請を申請しんせいしてきた。

「SHIT!――探知ソナー・・・」

 一度、冷静になってから無属性魔法の探査魔法を展開すると四面楚歌しめんそかの状況という事が分かったと同時に、衛兵長と衛兵副長がルカとリリカに苦戦している事が分かった。

「――マジデスカ・・・はぁ」

 無詠唱で水属性の霧を周囲に展開させると同時に、水属性の蜃気楼しんきろうと光属性の閃光せんこうでルカとリリカを撹乱かくらんさせることに決めた。

「コレとコレを、こうして――ほいっと」

 相手の視界と方向感覚を皆無かいむにした後でそこに止めとばかりに、84ミリ無反動砲を撃ち込むと油断していた衛兵2人がキル判定になった。

「あ、・・・やっちまった」

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