第13話 彼女の気持ちが分からない

新田さんにベッドを譲り渡した俺は背中が痛いのを我慢しながら床で寝ることに。新田さんは顔を向こうに向けてるためどんな表情をしているか分からないが微かに寝息が聞こえてるからきっと既に寝ているのだろう。静かになればどうしても色々と考えてしまうもので、俺は新田さんがどうしてあんなことをしていたのか考えてしまう。新田さんは理由を聞いて欲しそうじゃなかったし、本当はこんな事考えて悩むなんて俺の柄じゃないから今すぐ考えるのなんて放棄したかった。それでも考えてしまうのは新田さんのあんな姿を見てしまったからか。だとしたら、何時から?この事二人は知ってるんだろうか。いや多分知らないだろう。知っていてほったらかすなんていくらなんでもあの二人がしないだろう。でもそんなにお金に困ってたのか?全くそんな風には見えなかったけど。


髪がサラサラで、メイクだってちゃんとしてて、制服だって皺が全くなくいつも綺麗で清潔感に溢れていた。それなのに彼女があんなに悩んでたなんて・・・。


あ〜〜〜!やっぱ俺には誰かの為に頭を悩ませるのなんて向いてないわ!ましてやあの新田さんのことで悩むなんて無理!だってあの新田さんだぜ!?俺なんかが悩んだって解決策なんて見つかんねぇだろ!


・・・やめよ。無駄な労力使っちまったよ。明日も早いから寝るか。


そうして俺は毛布を頭から被ると目を閉じた。



「頭いてぇ〜」


完全に寝不足だ。やっぱ床で眠るべきではないな。


意識はなんとか手放せたんだけど決して良い目覚めではなかった。背中は痛いし寝違えて首が回んない。つか、なんで俺家主なのに新田さんにベッド譲ってんの?新田さんが床で寝ろよ。恨めしく思いながらベッドの方を見るけど新田さんは既に居なかった。


「新田さん!?」


新田さんが居なくて慌てた俺は財布の中を見るけど財布は無事の様だった。


いや、疑ってないけど一応な?


新田さんは先に学校に向かったのだろうか。だとしたら声くらい掛けろよな。まぁ、彼女に今更怒っても無駄なことは分かってるから俺も学校の準備をして家を出る。


♢♢♢


教室に行くといつもの様に新田さんを含んだ三人は教室の端っこで話していた。新田さんも案外普通でそれに少し安心していると新田さんと一瞬目が合う。しかし新田さんはすぐに視線を逸らした。


昨日のことがあるから気まずいのか?いつもなら睨まれるくらいは普通にされそうなんだが。


まぁ、これ以上は本人の問題だしな。俺が何かするべきではないだろ。そんなことを思っていた俺だが放課後、新田さんに空き教室に連れて来られてしまう。


「・・・昨日ことなんだけど」


新田さんは仁王立ちしながら昨日の事を口にした。自分で言っちゃうのかよ、話題に出されたくないと思って俺なりに気を使ってたんだけど。


「あぁ、うん。昨日のことなら勿論誰にも言わないから安心しろよ…勿論、あの二人にも」

「それが聞けて安心したわ」


本当にそれだけを言いに来たのか新田さんはすぐに教室を出て行こうとする。


「・・・新田さん、やっぱあんなこと止めろよ。万が一先生にバレたら退学になるから」

「・・・なんなのよ、アンタ。こっちから寄添えばうざそうな顔する癖になんでこういう時はお節介焼こうとするのよ」


新田さんはこちらを振り向き辛そうな表情をする。


「別にそんなつもりないけど。ただこんな稼ぎ方間違ってるだろ」

「・・・そうね、私もそう思うわ。でもこんな稼ぎ方しか分かんないのよ。この方が、効率良く稼げるでしょ?」


そう言って新田さんは今度こそ教室を出て行った。



♢♢♢♢♢♢

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