第12話 何故かほっとけない
「あの〜、新田さん?そろそろ家に帰らない?」
新田さんに休めるところを聞かれた俺は真っ先に自分の家を思い出しつい連れて来たのだが・・・。
新田さんは俺のベッドに上がり込み本棚を漁っていた。一つずつ本を抜いては差し込みを続ける彼女が何を考えてるのか俺には分からない。
「健全な男子高生にしてはつまらない本棚ね」
ぼそりと呟いた新田さんはいそいそと俺のベッドから降りる。そして流れるように新田さんの視線はDVDが詰め込まれてる引き出しへ。
「ちょっ、新田さん!?さっきから一体何やってんだ!?」
その引き出しへと手を伸ばし掛けてる新田さんの腕をほぼ無意識に掴むと新田さんは不機嫌そうに俺を睨む。
「なによっ。男って言ったらエロ本とか、エッチなビデオとかひとつくらい持ってる筈でしょ?」
新田さんは再びベッドに沈み、足をバタつかせる。
ん〜・・・。スカートだから見えそうなんだよな。でもそれを言えば新田さんに足蹴り喰らわされそうだ。
「仕方なくアンタのとこに来たけどゲームのひとつもない、持ってる本は漫画じゃなく教材…ほんと、つまらない人生送ってるわね」
「・・・だったら帰ったら良いだろ」
そう言えば新田さんは急に捨てられた子犬の様な瞳で俺に悲願してくる。
「・・・謝るからそんな事言わないでよ。今日だけで良い。泊まらせてくれるなら何だってする」
そう言い、新田さんは服のボタンをぷちっ、ぷちっと一個ずつ外していく。
それに慌てたのは紛れもなく俺で。
「きょきょ、今日寒いから止めよう!?か、風邪引くぞ!?」
俺はついテンパりすぎて変な事を言ってしまう。そんな俺に新田さんは数回瞬きをしてボタンを外す手を止めた。
「だったら、アンタが何をして欲しいのか言いなさいよ!別にこっちは無条件で泊めて貰おうなんて考えてないのよ!?」
肩をぐいっと後ろに押してくる新田さんは怒ってるがその表情はどこか苦しそうで…。
「私は生きる為なら何だってするの。誰とだってキスしたり、ソウイウコトだってするわ・・・失望した?」
―まぁ、最初からそんなに好感度なかったか―
新田さんは俺からゆっくり離れると身だしなみを整えて立ち上がる。
「・・・世話になったわね。じゃ、また明日」
「・・・待てよ」
俺は玄関に向かう新田さんの腕を掴んで引き寄せる。振り返った新田さんは驚いた表情をしていた。
「やっぱ、泊まってけよ。もう、遅いしさ」
「・・・何?やっぱご褒美欲しくなった?」
「違ぇよ。ただ新田さんにも何か理由があんだろ?あんな事をしだした理由が」
新田さんは目を見開いて数秒間俺を見つめるとその次には視線を彷徨わせ、伏せ目がちに口を開く。
「・・・今は理由聞かないで。でも、今夜だけお世話になります」
今まで誰かに頭を下げたことがあるのかってくらいプライドの高い新田さんだが今回は本当に困ってるのか俺に向き直ると頭を下げてきたのだった。
♢♢♢♢♢♢
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