第47話王の責務(番外編)
「ギルガメッシュ王、近隣の国から援助要請が来ております」
「ふむ・・・」
ギルガメッシュ王は山積みになっている書類に目を通す。
最近は魔物の動きが活発になっている。特に、落ちた天使と言われる特殊な魔族・・・あまり表立った動きは少なかったのだが、
「ギルガメッシュ王!ドワーフからのルーン武器が届きました!」
奴らは霊的ダメージ以外は受け付けない。奴らに有効なルーン武器を造るドワーフ族の協力が得られたのは非常に大きい。
あとは魔術的に優れたエルフ族、数は多くはないが高い身体能力と同じく一部の魔術に秀でた竜人族。
「やるではないか。コバヤシ、流石は我が目を付けただけはある」
実はこの国にはこんな戦争、圧倒的にせん滅出来る教会直属の代行人、と言われる集団がある。
1人1人の実力は勇者を大きく凌駕する程だ。
・・・しかし、
「奴らは何を考えているか分からん、まあ最悪この国に敵軍が侵入してくる事があるならその時くらいは働いてくれるだろう」
ため息交じりにギルガメッシュ王は呟いた。
「あら、ため息なんて珍しいじゃない?ギル」
「イシュタルか、女神と言うのは案外と暇なのだな」
「ふうん」とイシュタルは皮肉交じりに言葉を返した。
何故こういう時、女神、または男神が手を出したり直接干渉しないのは勝手は分かっている。
「神と言うのも難儀なものだな」
「ええ、でもまあ」
と、一息。
「ギルガメッシュ王、今回の戦争であなただけ生き残ったりしたら天界に案内してあげてもいいわよ」
「ふん、この国は滅ぶことはない。民の1人1人、すべては我が国、我が持つもっとも価値あるもの。この程度の戦い、越えられない訳はない」
よくギルガメッシュ王は暴君と言われるが、それは王として生きる以上当たり前だと自覚していた。
それがギルガメッシュ王の選択した生きざま。
「それにこういう非常事態に合わせて何も用意していない訳ではない、かつて神界には神の矢と言われる兵器があったようだがそれをもとに我々の技術で精一杯再現したものがある」
「ふうん、精々頑張りなさい・・・それと」
「なんだ?」
「戦争が良い結果になることを望んでいるわ」
ギルガメッシュ王は「ふん」と自信をもって答えた。
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