第46話竜人族の集落
「遠き道のり、ご苦労ですな」
3人が竜人族の集落に着いたのは山賊の襲撃後、4日程だった。
流石に全員ヘトヘトだ。
竜人族たちはそんな俺たちを暖かく迎えてくれた。
「マルス、久しぶりね」
ニナは俺たちを最初に迎えてくれた若い竜人族の青年に声をかける。
「この前のリッチーの討伐依頼の時、以来ですな」
「あ、ああ。そうだな」
「・・・覚えてないでしょ。彼はマルス、私とは長い付き合いなのよ」
ニナがフォローしてくれた。正直、顔や名前は覚えるのが苦手なのでありがたい。
「おなかへった!」
スラ子はパーティの全員が思っていることを先に言ってくれた。スラ子は空気が読めないがこういう時は正直、助かる。
「ああ。それならコバヤシ殿が付く少し前、荷物を積んだ馬車が来ましたぞ。いまは馬主は休んでおりますが」
「助かったわ・・・!肉は苦手だからどうしようかと思ってたのよ」
「よかったな。二人とも」
スラ子もニナも肉は食べないので最初に行ったエルフの里で沢山持ってきたのだが、山賊に奪われてしまって困っていた。リーシャのおかげだな。
「それは残念ですな。沼地の獣は臭みをとれば空腹を満たすには最高ですぞ」
「肉は嫌いじゃない。二人の分は俺が貰うとしよう」
「ふむふむ。ニナ殿は相変わらずですな」
「そうかしら?あなたも変わっていなくてよかったわ」
二人が話している間、俺は黙々と獣の肉を焼いたもので腹を満たす。
臭みがあると言っていたが、慣れてくるとこれがなかなか美味しい。
「スラ子も食べるか?」
「おにくはきらい!」
「残念だ」
俺は夢中になって食べていると、
「コバヤシ殿。今回はどのようなご用件で?」
俺にふと声をかけてきた。
しまった。肉を食べるのに夢中で肝心の話をしていない。
気まずそうに俺は肉を食べる手を止める。
「あとおよそ1年ほどで、落ちた天使が戦争を仕掛けて来る。竜族の力を貸してほしい」
「落ちた天使とは・・・どういう種族ですかな?」
「神の世界に住んでいた者達、天使と言われていた者」
出来るだけ分かりやすいように説明したつもりだ。
マルスに話をしていると、奥から年老いた竜人族が声をかけてきた。
「・・・ほう。神代の天使たち。かつてシャイターンと、闘神と呼ばれた者」
「知っているんですか?」
「伝承に残っているのじゃよ。もう大分昔・・・神代と呼ばれたころから存在したもの。わしもすべては知らんがな」
「もうすぐ戦争がはじまります。どうか竜人族の力も借りる事が出来ないでしょうか?」
聞いた話によると、老いた竜人族がこの集落をまとめる立場にあるという。
「協力はしたいのだが、どこが戦場になるのかの?」
コバヤシはゼパルから言われた戦地を伝えると、
「うむ、では若い者に何人か声をかけてみよう」
協力的な返答をしてくれた。これで・・・・!
「わっ!任務クリアだね!」
「ああ」
ゆっくりしたいところなのだが、時間は待ってくれない。
馬主を呼んでもらい、パーティの荷物をまとめ、出発の準備をした。
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