第18話不思議な銃
「・・・」
緊張した面持ちで門を通ったが、憲兵から特に言われることもなくあっさり通ることが出来た。
もしかして、伝わっていないのだろうか。
「コバヤシ、平気・・・だったね」
「ああ」
宿に向かう。できれば今は誰にも会いたくないが・・・。
「お。お前さんあの時の!」
確か、アレスとか言ったか。タイミングは悪かったが、仕方なく返事をする。
「ああ。久しぶりだな。その、なにか用か?」
「いや、用があるって訳じゃない。たまたまだ」
「そうか」
話を切り上げようとした時、アレスが俺の肩をバンバンと叩き、笑いながら言った。
「お前、この前遺跡に出没したムシュフシュを退治したそうじゃないか!すごいな!」
「ああ・・・勇者パーティでな。そんなに噂になってるのか?」
少し気まずそうにコバヤシは答えるが、気づかれてはいない、よな。
「勇者パーティは有名だからな。というか、お前も一緒にいるから有名人だぞ?」
「それは・・・めんどくさいな」
アレスは爆笑すると、さも変な人を見るように続ける。
「お前、やっぱり面白いな。今度は俺のパーティでも一緒に行こうぜ。楽しみにしてるぞ」
買い物の途中だったのか。彼は終始楽しそうに去っていった。
「来たか!コバヤシよ」
昨日の夜のこともあり少し心配だったが、特にギルガメッシュ王の態度に変化はないようだ。
「何のようですか?ギルガメッシュ王」
「いやなに、最近遺跡で珍しい武器が見つかったようで、商業ギルドで出品するらしい」
_____珍しい武器・・・?
ギルガメッシュ王は珍しい武器や宝を収集する癖があるらしいが、その一環だろうか。
マスケット銃、という武器らしい。
「ふむふむ・・」
「持っていく予算は・・・まあこんなもので良いだろう」
秘書のサナタリアが俺に金貨の袋を手渡すと静かに頭を下げ仕事に戻る。
「頼んだぞ。コバヤシよ」
「わかりました」
頭を軽く下げ、コバヤシは謁見の場を後にした。
「わああああ!」
スラ子が興奮して声を上げる。
商業ギルドは以前の街でも見たことは有るが、ここまで人が多く大規模なモノは見たことがない。
どこからかクスクスと口元を隠す貴族が視界に映った。
「・・・スラ子」
「どうしたの?コバヤシ」
こつん、と軽くスラ子の頭をこずく。
自覚はしていないようだ。田舎者、とスラ子に思わず言いそうになった。
「お前な、少しは自覚しろ」
「なんか怒られた・・・クスン」
商業ギルドの玄関受付に入場料を支払う。・・・意外と高い。
同行しているだけのスラ子の分も支払うのか。
____背後から不吉な気配がする。
「まったあああああ!」
慌てて駆けこんできた少女は時間のギリギリで受け付けにお金を支払う。
「ふう・・・」
「慌ただしいな・・・あんた」
少女に思わず声をかけてしまった。
「ふふふ・・・今回ばかりは遅れるわけにはいけないからね」
「そうか。お互い狙ったものが手に入るといいな」
「私のねらい目はこれ!」
彼女は腰に付けた特殊な弾丸と、銃(?)の本体を見せつける。
見たところ単発式の銃・・・?だろうか。
「狙いの品はこのマスケットっていう銃なんだ。ちょっと前まで解明されてない遺物だったんだけど最近は使い方が解明されてきて・・・」
_____まじか・・・。
「あ、ああ・・・」
話は聞いていたが、それどころではなかった。これは商品を逃してギルガメッシュ王にどやされそうだ。
彼女の話に付き合いながらオークション会場に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます