第4話新たな冒険

「爛れおちよ。ディザーゥヴ!」


濃い硫酸の匂い、中級クラスの魔物くらいにならこの魔術でも余裕で対処できるようになっていた。


前までは、接近するリスクを考えなくてはいけなかったので忌避間を覚えていた魔物相手の戦闘も慣れてきたものだ。


「こっちもおわったよ!」


「依頼完了、だな」


「ふーん・・・やるじゃない?」


イシュタルは戦闘するでもなくじっとこちらを見ていた。


・・・何か言いたそうな顔だ。


「私が敬語だった理由、聞きたくない?」


並みの人間ならビビるくらいの笑顔で言ってくる。


意見くらい、聞いてみるか。


「・・・わかった。言ってくれ」


すねた顔でイシュタルは口を尖らせる。


「あなたが唐変木でまったく気持ちに気づかないからよ」


「唐変木・・・って言われても」


思い当たる節はないが、なんとなくイシュタルの神殿での事を思い出す。半年ほど魔術を学んだが何かその間にあっただろうか。


「はあ・・・まあいいわ。精々頑張りなさい」


あきれた顔でため息をつく女神を尻目にコバヤシは街に帰った。
















「報告は以上だ。魔獣が何匹かいたが、警戒するほどではないだろう」


「依頼報告、了解です。お疲れさまでした」


カネの入った袋を受け取ると、スラ子がまじまじとこちらを見ていることに気づいた。


「どうした?」


「別に・・・なんでもないよ!」


(・・・女心は難しいな。)


「お!新人か?」


「迷惑かけない、の」


軽装の皮鎧に、身の丈の槍を持っている冒険者にスタイルの良い、色香が漂う女魔術師。


パーティだろうか。


「いや・・・まあ、そんなところだ」


「俺はアレス、この連れの女魔術師はアイカだ」


「よろしくね!わたしはスラ子!」


この男、強い。見ただけでわかる。


魔剣が使えるようになって強くなったつもりでいたが俺もまだまだだな。


「俺はコバヤシ、と言うものだ」


「ふーん・・・変わった名前だな。もしかして異世界者か?」


「・・・!」


初めてそんなことを言われたので、思わず驚いてしまった。


「なに、珍しい話じゃない。神だってこの世界には結構いるって知ってるだろ?」


「こらこら、からかわない、の」


「取り乱して悪かった。俺は日本、という国から来た」


「へえ。マジなのか、それでお前さんの連れは・・・魔物じゃないか?」


「!?」


スラ子は俺の背後に隠れる。不味いな、この状況ではどうしたらいいか・・・!


アレスと名乗る青年は豪快に笑うとまあまあ、とジェスチャーをする。


「大丈夫だ。ここで魔物を討つとかそんな話じゃない。たまにそういうやつもいるさ、前いた街はよほど田舎だったんだな」


「それならいい。警戒して悪かった」


「異世界者と魔物のパーティか、依頼があれば同行させてもらいたいくらい面白い組み合わせだ」


じゃあな。と彼らはひとしきり話すと依頼書をカウンターから受け取ってギルドを後にした。


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