第3話最悪なデート
「ちょっと待ちなさいよ!」
それは突然の乱入だった。
剣を向かえ合わせ、まさに決闘が始まろうとする瞬間。
「まさか・・・」
「よく来たな、イシュタルよ!」
「え!?イシュタル様!?」
ニイナは驚いて頭を下げる。
ブローとアンジェリカも驚いて膝をつく。
「へえー、コバヤシ君も跪くんだ」
「・・・」
この神、こんな口調だったのか・・・。
まるで別人だ。
「ホントにイシュタルなのか・・?」
「そうに決まってるじゃない、私のこと散々無視した罪よ」
「この人だれ・・・?」
スラ子はコバヤシをすねた様子で見る。
気まずそうに思わず視線を逸らした。
「もてもてじゃない・・・コバヤシ君」
笑顔だがこの女神、怖い。
「はっはっは。これはとんだ色男ではないか!」
ギルガメッシュが笑いながら言った。
「気分が変わった!決闘はなしだ!」
お互いに剣を収め、ニイナは意地の悪そうな顔でこちらを見る。
「へえー・・・そういう感じなんだ」
「そういう感じってなんなんだ・・・」
あきれ果てた表情でコバヤシは呟くように答えた。
「あれなんか美味しそうじゃない?」
「コバヤシ!向こうに可愛いローブがあるよ!」
右にはイシュタルが、左にはスラ子が腕を組んで歩いていた。
騒々しい市場、沢山の人の往来、前までいた街より圧倒的に人が多い。
「とりあえず、な・・・」
「なにかしら?」
「なに?」
「手を放してくれ」
笑顔で二人から威圧される。
女って怖い。
「はあ・・・」
「おお。そこのあんちゃん、モテてるねえ。よかったらこのパン食べてみないかい?」
見た目は素朴だが、美味しそうだ。
「蜂蜜を塗ると美味しいわよ?試しに食べてみるといいわ」
棚に並べられた蜂蜜の小瓶を取ると、イシュタルは言った。
「この蜂蜜ももらってもいいかしら?」
店主は笑顔でパンと蜂蜜を渡す。
「どうぞ、イシュタル様」
この最悪なデートは1時間は続いた。
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