第2話本国へ
「わー!すっごい!」
大きな城下町、そこには沢山の人がいた。こんなに人が集まっているところを見るのは初めて。
「勇者パーティの皆さま、無事のご帰還嬉しゅうございます」
「じいや!ただいま!」
「ニイナ様、収穫はございましたか?」
ひげを蓄えた身なりの良いおじいちゃん、これが召使いっていうのかな。
ニイナに行儀よく頭を下げると、私たちを見る。
「こちらのお二方はどなたでしょうか」
「俺はコバヤシ、彼女はスラ子だ」
「は、初めまして!」
「彼らは落ちた天使を倒した有名人だ。私たちの戦いに協力してもらおうと思っている」
「ほお・・・。それは素晴らしいですね」
召使いはこちらを値踏みするように見てくる。
すこし緊張し、体がこわばる感じがした。
「皆さまこちらへどうぞ」
召使いが私たちにも頭を下げる。
「わわ・・!頭を下げられるとか・・・なんか変な感じがする・・・!」
召使いに案内され街中を歩く。
「私たちがいた街より、もっとたくさんの人がいるね!」
「ああ。ホントにすごいな」
ニイナがこちらに振り向き、自慢げに言った。
「わたしたちはこの街の英雄、勇者パーティなんだぞ!すごいでしょ!」
「この前の戦いを見たんだ。言わなくてもわかるさ」
「・・・!へ、へえ!よくわかってるね!」
「コバヤシ!なんか向こうに屋台みえるよ!」
コバヤシの腕に絡むと、スラ子はニイナを睨む。
・・・負けないから!
「・・ああ」
(なんかいつものスラ子らしくないな・・・どうしたんだ)
「モてる男は大変だね」
ブローは冗談めいた口調で笑う。
「冗談もほどほどにしてくれ」
「そろそろこの国の王、ギルガメッシュに謁見する時間でございます」
立派な城が目の前に立ちはだかった。
こんな立派な城は初めて見る。
長い階段を上っていく。
「・・・そろそろ腕を自由にしてくれないか。すこし恥ずかしいんだが・・・」
「わたしのこと、嫌い?」
「はあ、まったく。」
そういう彼が好きなんだと私は思う。
ドキドキした。
迎えるように兵士が並び、大理石で出来た柱を通り玉座へと進んでいく。
赤い絨毯が敷かれた先に傲慢不遜な王が座していた。
「ようやくきたか!勇者よ!」
「で、状況はどうなのだ。ニイナよ」
ギルガメッシュがニイナに問いかけると、物おじせず答える。
「落ちた天使を倒した冒険者をつれて・・・きました!」
「珍しいな、ニイナが敬語で話すとは」
「たまにはそうなの!」
可愛い奴だ。勇者としてはまだ幼いが、実力がともなっている。お気に入りだ。
「俺が落ちた天使を倒した勇者、コバヤシだ」
「貴様が倒した・・・?そうか、なら・・・!」
ニイナを指さしギルガメッシュは言った。
「ここで決闘してみよ」
「・・・自己紹介も出来ていないのですが、ギルガメッシュ王」
「サナタリア、俺に指図するのか」
半場あきれ顔でサナタリアはこちらを見る。
「ニイナ様、申し訳ありませんが王のお戯れにお付き合いくださいませ」
「ふーん・・・!いいね!勇者の力、見せてやる!」
「仕方ない。加減はしてくれよ、ニイナ」
距離を置き、二人は向き合う。
ニイナはカリュバーンを構え、コバヤシはヘブンズギルを召喚し構える。
「始め!」
ギルガメッシュ王は高らかに笑い、
「実力をみせてみよ!コバヤシとやら!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます