6 高橋かれん 8月1日 17時00分
先生は今日もアキバに向かってる。 ここのところ毎日っていうくらいだ。
や…もちろんアタシたちの学校から一番近い駅はアキバなんだけど、先生は駅の向こう側まで毎日行くんだよね。 それもどっかのお店に入るとかじゃなくて、ある交差点までくると、そこをしばらく見渡して……で、駅の方に戻るって感じ。
先生、どうかしちゃったのかな?
最近はなんとなく元気ない気がするし……かれんは心配だなぁ。
先生は頭も良くって、優しいから、多分全然心配しなくていいことも考えちゃってるんだと思うんだよね。まあ先生のそんなところもかれんは大好きなんだけどね!
あ、言っちゃった……うん、かれんは先生のことが大好き。
ううん、単に先生として好きってことじゃなくて、異性として大好き!
や、もちろん先生として好きっていうのが前提にあるんだけどね。
入学したてのころ友達が一人もいなかった、かれんのことを先生は女子サッカー部に誘ってくれた。
おかげで友達も出来たし、今は毎日が楽しい!
先生の担当の数学はもちろん丁寧に教えてくれるし「わからないところがあるんですけど…英語の梶田先生がちょっと苦手で……」って言ったら英語まで教えてくれた。
あんまり愛想が良くなくって、不器用なんだけど優しい先生のことが……かれんは大好き!
だから、今日は思い切って声をかけることにしたんだ!
普段の学校とは違うところで見れば、先生のかれんを見る眼も変わるかもしれないよね?
何度も頭の中でシミュレーションしてきた風に声をかけます。
「あ~っ、先生だ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます