第51話 相談
夏休みが終わって、自分から担任の先生に進路のことで相談をすることを考えていたから少しは、成長できたと実感する。
「怜か。どうした」
昼休みに先生のところに訪れて見るとそこには、雫もいた。
先生が雫と対談中に視線がいきなり、こっちを向いてきたので目をパチパチしてしまう。
気づいてたのか……。
邪魔しないように影で見てたのに声をかけられてしまった。
「怜!? 気づかなかったー!」
先生が自分に声をかけるので雫もこちらを見て手招きしてくる。
「二人の話が終わってからでいいのに」
そう言ったが早く話が終わるからと自分が先に優先させられて、先生にバスケ選手になりたいと話をする。
「簡単なことじゃないってわかってるけど、バスケを続けたいし、ちゃんと結果も出すようにするからバスケ選手になれるようにしたいんだよね」
「おー、いい心がけだから遅かれ早かれ、怜に言おうとしてたことがあるんだよ」
急に真面目な話をする雰囲気になって唾を飲む。
なに、いきなりガラリと空気が変わりすぎだろ……。
「実はな……」
いらない間を作るのが好きみたいだから余計に腹立つ。
「なに!!」
「怜に契約オファーが来ている」
あまりにも衝撃的な発言に言葉遣いが荒くなってしまう。
「まじ!?」
「マジ」
面倒くさいなったのか先生が、自分と同じ言葉しか言わなくなった。
「頑張ったな。これからも結果残さないとオファーの話が消えることが、あるから気をつけろよ」
「うん! わかった!」
他の先生達も知っているみたいで、お祝いの言葉をもらったり凄い活躍してたからいけると思ってた、などと言ってくれる先生もいた。
「おめでとう!」
雫からも言われて嬉し涙が溢れた。
「私も頑張らないとだな!」
そう意気込む雫の進路を聞いていないので、なんと言ったら良いのか口ごもってしまう。
そんな様子を見て雫が、自ら話してくれた。
「私、学校の先生になりたいの」
「先生! 絶対似合うよ!」
照れたのか頭をかきながら笑ってくる。
「兄貴が教えてるの?」
「いや、違う。嫁のが適任かと思って、休日とか家に招いて教えてる感じ」
今、兄貴の口からとんでもない言葉が出たのは気のせいだろうか。
「嫁?」
「おう、嫁。あっ、怜は家に、いなかったから知らなかったのかー」
いやいや、初耳だけど反応かるっ!
嘘だろ。普通は、自分にも伝えるとかしないとだよね!?
「いやいや、紹介しろよ!」
忘れてたわ、とだけ言って家族なのに、この対応である。
「ちなみにお父さんと結花も知ってるから」
仲間はずれは、自分だけかよ!
根掘り葉掘り聞きまくって、どんな女性か探る。
なんと高校の時の担任の先生だったみたいで兄貴を気にかけてくれたこともあって好きになったみたい。
そういや、高校に行き出して性格は、丸くなってたな。
釣り合えるように学校の先生を目指したとのこと。
少しだけ感動するかも。
まあ、自分にだけ言わないのは、ムカつくけどね。
昼休みが終わって職員室に来ていた生徒もクラスに戻って行っている。
授業を終えて放課後になったので部活の顧問に報告しに行く。体育館に入ると顧問がいたので話をした。
「先生! わたし、バスケ選手になります」
「お! 話は、聞いてたけどやる気に満ち溢れているな。ところで部活始めた時から体幹がしっかりしていたけど君のお父さんから習ったと言っていたが名前とか聞いてもいいか?」
そんなに体幹がしっかりしているだけ凄いことなのかな?
そう思いながら先生にお父さんの名前を伝える。
「
「千葉 和彦!? あのバスケ業界に名を
へー。本当かなー。
でも先生の反応が、おかしくなりながら手を合わせられる。
「本当に一生のお願いなんですがお父様のサインが欲しいのですが!!」
うわー、名前聞いた途端に露骨に態度豹変したな……。
この反応からして、本当の話っぽい。
知らなかったー。小さい頃によくバスケ見せられてたのってバスケ選手になってほしかったのかな。
でも、今までそんな聞かされてない……。
家に帰ったら聞くか。
「相談してみます」
「有り難き幸せでございます!」
キャラとついでに口調まで変更されてる。
「先生、いつも通りでいいですよ。一年生でレギュラーに入れてくれたおかげで、オファーも来たような感じで感謝していますから」
「先生は、嬉しいぞ!」
袖に涙を拭いていて感情の波が激しい人だけど普通に良い先生だ。
家に帰って早々に、お父さんに聞きに行くことにした。
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